第67章ーーお祓いーー
予告通りの超展開になります。
百合が苦手な方、、ごめんなさい。
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さぎりたち一行は、(バランス調整の為にブーツを脱げないユノを除いて)
履物を脱ぐと、シノに導かれて拝殿へ入った。
外の少し湿った空気とは違う。
静かな空気。
木の香り。
足音だけが、かすかに床へ響く。
シノは一行へ場所を示した。
「そちらにお座りください。」
「はい。」
皆は神前に向かって横一列に並び、紫色の座布団に正座した。
シノは一行の前へ立つ。
静かに大麻を手に取った。
白い紙垂が、わずかに揺れる。
さっ。
さっ。
大麻が静かに振られる。
紙の擦れる音だけが、拝殿の中へ響いていた。
皆の安全と健康を祈りながら、シノは丁寧に修祓を行う。
さぎりは頭を垂れていた。
ミオも、その隣で同じように頭を下げている。
ユノも、小さな体を前へ傾けていた。
しばらくして。
音が止んだ。
シノは大麻を納めると、柔らかな笑顔に戻った。
「はい。終わりましたよー。」
少し笑う。
「頭を上げてください。」
皆が顔を上げる。
「ありがとうございます。」
皆が口をそろえて言った。
ユノも小さく頭を上げる。
「ありがとうございます。」
「いえ。」
シノはにこりと微笑んだ。
その時だった。
ミオが尋ねる。
「神社とは。」
「はい?」
「他に、何をする場所なのですか?」
シノはミオを見た。
「ヘスペリア3の神社では、毎日ご祈祷。
時期によっては収穫祭、初詣、ふさわしい方々の結婚式などをしていますが。」
「ああ。」
さぎりが口を開く。
「そういえば、ハル主任とおばちゃんも、農業リング第二区画で結婚式を挙げてたわよね。」
「ええ。」
シノは頷く。
「もちろん、こちらでもできますよ。」
「へえ。」
ミオは拝殿の中を見回した。
「ここで?」
「はいここでは大体いつでも。」
シノは神前に掛けられた暦へ目を向ける。
そして、さぎりとミオを見た。
「よければ。」
「はい?」
「今から、お二人の結婚の儀を行いますか?」
二人の動きが止まった。
「え?」
さぎりが目を丸くする。
「今?」
ミオも続ける。
「ここで?」
シノは何でもないことのように微笑んだ。
「はい。今、ここでです。」
「え……。」
ミオはもう一度、拝殿を見回す。
さぎりがシノに尋ねる。
「なんか……。」
「はい?」
「結婚式って、六曜とか。」
「今日は、二三五九年七月十九日。大安吉日です。」
「綺麗な服着て。」
「はい。皆さん着てますね。」
「人を呼んでやるものじゃないの?」
「はい。人もいますね。」
さぎりは「あれ?」という顔をした。
シノは二人を見つめる。
「お二人の気持ちが、しっかりしているのであれば。」
「今後の一生を添い遂げるつもりであれば」
少し笑う。
「それだけでも大丈夫ですよ。」
さぎりとミオは顔を見合わせた。
拝殿の中に、少しだけ不思議な沈黙が流れる。
シノは静かに続けた。
「結婚式というものは、形も大切ですが。」
「はい?」
「何よりも、お二人の気持ちです。」
優しく微笑む。
「その気持ちが、きちんと整っていれば。」
「仮にお二人だけでも、結婚の儀はできます。」
少し周囲を見回した。
「しかも、ここには綺麗な浴衣を着た皆さんがいます。」
「お二人の浴衣も、とても華やかです。」
さぎりとミオは、しばらくシノを見つめていた。
シノは何も言わない。
ただ、にこやかに立っている。
さぎりはミオを見る。
ミオも、さぎりを見る。
しばらく見つめ合う。
やがて。
ミオが、こくりと頷いた。
さぎりは目を細め、静かに微笑む。少しの涙が滲んでいる。
二人はユノ。ハル、おばちゃん、農業リング主任、紫区画長、モウブを見渡した。
モウブは少し困ったように下を向いていた。
だが、他の皆は笑顔で頷く。
二人はもう一度シノへ向き直る。
揃って床へ手をつき、深く頭を下げた。
「お願いします。」
二人の声が、静かな拝殿の中へ重なって響いた。
その横で、ユノも小さな両手を床につき、静かに頭を下げていた。
シノはそんな一行を見つめる。
そして満面の笑みを浮かべた。
「わかりました。」
さぎりとミオが顔を上げる。
「では。」
シノは嬉しそうに言った。
「準備してきまーす!!」
その場を駆け出しかけて――
「あっ!」
ぴたりと足を止める。
「今、地球産の本物の日本酒があるんですよぉーー!!」
嬉しそうにそう言うと、ウキウキした足取りで拝殿の奥へ消えていった。
ハルと農業リング主任、おばちゃん。紫区画長が
合わせてゴクリと喉を鳴らしながら小声でつぶやく。
「……え、日本酒?嘘。。。」
皆が顔を見合わせて思わず笑う。
それは、1年に1本だけ地球からの輸送船でヘスペリア3の神様に奉納されているものである。
「あいつ、自分が飲みたいだけじゃないのか?」
無粋なハルの一言に皆は笑いを堪えきれなかった。




