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木星の雨音  作者: ぴいちゃん


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59/63

第59章ーー家族ーー

最近ちょっとダラダラしてましたが、今回は大きなテーマを一つ置いておきます。

そして次回は大浴場!とユノの大発見!

からの数話はかなり大きく物語が動きます。


https://x.com/pochidayo

更新時には更新情報流しています!

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「お風呂は、この先二駅目です。」


一行はホームへ停車していた農業リング専用トラムへ乗り込んだ。

挿絵(By みてみん)

先頭の客車へ腰を下ろすと、静かに発車する。


車窓の向こうでは、後ろの貨物車から大型コンテナが滑るように降ろされていた。


荷物は無人搬送車へ積み替えられ、そのまま加工工場へ吸い込まれるように運ばれていく。


「あ……。」


さぎりは思わず窓へ顔を近づけた。


「こんなふうに運んでるんだ。」


区画長がうなずく。


「ええ。」


「ほとんど自動ですね。」


「人が行うのは確認と監督くらいです。」


ミオも興味深そうに見つめる。


「見ていて飽きませんね。」


トラムはゆっくりと次の駅へ滑り込んだ。


貨物が降ろされる音が静かに響く。


再び発車すると、ほどなく車内放送が流れた。

挿絵(By みてみん)

『次は――浴場前。浴場前です。』


「着きました。」


区画長が立ち上がる。


ホームへ降りると、その先には木の香りが漂う大きな建物が建っていた。


駅から浴場へ向かう間には、東屋や木製のベンチ、テーブル、そしてきれいに整えられた石畳の道が続いていた。

挿絵(By みてみん)

建物は贅沢に木材が使われており、入口には左右に分かれた大きなのれんが揺れている。


右には『男』。


左にはえんじ色の『女』の文字が染め抜かれていた。


一行が入口へ向かって歩いていると、ベンチで休んでいた風呂上がりらしい家族の中から、一人の女の子が立ち上がった。


「あっ!」


女の子は嬉しそうな表情になると、そのままこちらへ駆け寄ってくる。

挿絵(By みてみん)


「さぎりさん! ミオさん! それにユノちゃんさんですよね!」


勢いよく立ち止まると、少し息を弾ませながら笑顔を見せた。


「この前、フリーマーケットでお見かけして……。ずっと挨拶したいと思ってたんです。!」


さぎりとミオは顔を見合わせる。


「あっ、そういえば、あの時の。」


「こんにちは。」


さぎりが優しく微笑む。


「今日はどうしたの?」


「はい! 今日は見学しようって思って、紫区画まで来ました。」


「私NOAHからの移住希望者なんです!」


女の子は嬉しそうに振り返り、東屋にいる皆を見る。


「あの、女の方2人が案内してくれてます!」


「男の子と男の人は同じ人工子宮の兄弟らしいです。」


「あの二人の女の人はヘスペリア3の本当の親子なんですすって!」


「おばあさんは農場区画在住で、若い方は第一居住リングに住んでいます。」


「男の人二人は一緒に第1居住リングにしようかと言ってます。」


「私は、農業リングに2~3日滞在して、それから決めようかと思ってます。」


「そうだったの。」


ミオは笑顔でうなずく。


「私たちも今日はお休みなの。みんなでお風呂に入りに来たところ。」


「そうなんですね!お風呂気持ちかったです!!」


女の子は目を輝かせた。


「会えて、本当に嬉しかったです!」


その声に二人の男の人、お母さんと見えてた人とおばあちゃん、がこちらへ目を向ける。


一行は微笑みながら、軽く頭を下げた。


さぎりとミオも笑顔で会釈を返す。


ユノも小さな手を振ると、女の子は嬉しそうに大きく手を振り返した。


「それじゃあ、また!」


「またね。」


一見、家族に見えた一行に見送られながら、さぎりたちは木の香り漂う浴場の建物へと歩いていった。


そのやり取りを聞いていた全員が


考え方、文化、風習、習慣はぱっと見同じなのだが。


家族観が全く違うんだなと。


と思っていた。


ミオはいつもと変わらずニコニコと笑顔だ。

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