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木星の雨音  作者: ぴいちゃん


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50/61

第50章ーー設置開始ーー

あああ。。ごめんなさい。

リンの始動は明日になりそうです。


https://x.com/pochidayo

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翌朝。


早朝。


チズルが目を覚まして居間へ出ると、ハルはすでに身支度を整えていた。


「あれ。」


「ハル。」


「早いとは聞いてたけど。」


「私より先に起きるなんて珍しいね。」


「ああ。」


「本当に朝イチで行かなきゃいけないんだ。」


ハルは作業着の襟を整えながら言った。


「朝飯はどうする?」


「昨日配られた朝食を、そのまま持って行くわ。」


「工房で食べる。」


「分かったよ。」


ハルは袋を手にする。


「昼飯のあと。」


「厨房の整備を手伝ってくれ。」


「ええ。」


「分かってるよ。」


チズルはうなずく。


するとハルは玄関へ向かいながら振り返った。


「あ。」


「酒、忘れるなよ。」


チズルは苦笑する。


「はいはい。」


「行ってらっしゃい。」


「ああ。」


ハルは軽く手を挙げると、静かな朝の街へ歩き出していった。


さぎりとミオはユノを連れ、いつものようにハルの工房へやって来た。


工房に着いたのは、いつもより一時間ほど早かった。


「おはようございます。」


「ハル主任。」


「どうですか?」


ハルは感想パンをかじりながら、作業台の上を指さした。


「ああ。」


「補助装置も完成だ。」


作業台には、ユノ15-2本体の隣に、補助装置が置かれていた。


さらに。

挿絵(By みてみん)

トレイ。


コップ。


ボウル状の皿。


スプーンやフォークなどのカトラリー。


流し台。乾燥棚。


十五センチサイズに合わせたものが、一式きれいに並べられている。


それらも、立体造形機によって製作されたものだった。


そして、小さなテーブルと椅子。


ハルが木材を削り、一つひとつ手作業で仕上げた家具だった。


「すごい……。」


ミオが思わず声を漏らす。


ハルは工房の端末へ向かって声をかけた。


「おい。」


「ユノ。」


端末の画面に、アーカイブのユノが映し出される。


「おはようございます。」


「ハル主任。」


「今日はお早いですね。」


「ああ。おはよう。」


ハルは補助装置へ手を伸ばした。


「この補助装置。」


「通電しても大丈夫か?」


「ええ。」


ユノは静かに答えた。


「問題ありません。」


「ですが。」


「絶対に。」


「絶対にユノ15-2本体は接続しないでください。」


「ああ。」


ハルはうなずき、補助装置へ電源ケーブルを接続する。


スイッチを入れる。

挿絵(By みてみん)

静かな電子音が鳴り、診断画面が表示された。


ハルは一つひとつ数値を確認していく。


「……すげぇな。」


「全部のパラメーターが、ほぼゼロじゃねぇか。」


ユノが小さく微笑んだ。


「私が設計しましたから。」


そして、画面を見つめながら続ける。


「あ。」


「少し修正を入れますね。」


表示されている数値が静かに書き換わっていく。


しばらくして。


「はい。」


「初期設定が完了しました。」


「他にも問題はありません。」


ハルは満足そうにうなずいた。


「よし。」


「今日の昼食後。」


「厨房へ運んで設置する。」


「いいな。」


「はい。」


「大丈夫です。」


ユノは答える。


「ですが、その際はユノ15-1を付き添わせてください。」


「もちろん、さぎりさんもミオさんも。」


「ドック。」


「食器一式もお願いします。」


「それと。」


「ハル主任が作ってくださった椅子とテーブル。」


「ああ。」


「当初は小型のモニターも必要です。」


「分かった。」


「聞いたか?お前たちもよろしく頼むぞ。」


「はい!」


昼には、いよいよユノ15-2──リンの起動準備が始まろうとしていた。


昼食のピークを終え、食堂の人影がまばらになったころ。


ハル主任は工具箱とテスター、ワイヤー類、端子類、チェック用の端末を持ち。


さぎりとミオは、ユノ15-2本体の入った箱と、小さなモニター。


ドックや補助装置、食器類などが入った箱を抱えて第一食堂へやって来た。


「ひとまず荷物はその辺に置いて。」


「昼飯を食おう。」


ハルが笑う。


「今日の昼飯は珍しく、うどんらしいぞ。」


三人は列の途絶えたカウンターへ向かい、それぞれうどんを受け取った。


ミオは器をのぞき込み、不思議そうに首をかしげる。


「なんか。」


「面白い四角い茶色いものが乗ってる。」


さぎりが微笑んだ。


「ああ。」


「それは『きつね』。」


「油揚げっていう、大豆たんぱくの加工品を揚げたものよ。」


「神社のおきつね様の大好物なんだって」


さぎりが答える。


「へぇ。」


「いただきます。」

挿絵(By みてみん)

ミオは一口かじる。


「味が染みてて、おいしい。」


ハルもうなずく。


「うん。」


「うまいな。」


三人は湯気の立つうどんを勢いよくすすり、あっという間に食べ終えた。


「ごちそうさま。」


食べ終わると、それぞれ器を洗い場へ持っていく。


食器を返却する前に、自分で洗う。


それがヘスペリア3の流儀だった。


三人が食器を返し終えるころには、調理員たちは次々と休憩へ向かっていた。


「では。」


「始めるか。」


広い調理場には。


チズルと、数名の各部門の調理長だけが残っている。


食堂の営業は昼の慌ただしさはすでに過ぎ去り、厨房には静かな時間が流れ始めていた。


ハルは厨房の中をゆっくり見回した。


受け取りカウンター上流側の一角。

挿絵(By みてみん)

保存パンの受け取り場所付近。


普段はほとんど使われていない空きスペースを見つける。


「やっぱり。」


「ここ、空いてたか。」


「最高じゃねぇか。」


ハルは満足そうにうなずく。

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