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木星の雨音  作者: ぴいちゃん


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33/62

第33章ーー宿題ーー

https://x.com/pochidayo

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その日の夜。


食堂の営業を終えたチズルと、夕食を済ませたハルは工房に寄らずに


早めに家へ帰ってきた。


さぎりの家とは1駅違い。


二人用住居。


二人には十分な広さのリビング。


二人は温かいお茶を飲みながら、一日の終わりをのんびり過ごしていた。


「ふぅ。」


チズルが湯のみを両手で包む。


「今日は忙しかったねぇ。」


「そうだな。」


静かな時間が流れる。


「なあ。」


ハルが口を開く。


「ん?」


「お前ってさ。」


「今の食堂の服、好きか。」


チズルは少し首を傾げた。


「急にどうしたんだい。」


「いや。」


「ちょっと気になってな。」


チズルはエプロンを見下ろして笑う。


「私は好きだよ。」


「毎日着てるし。」


「落ち着くしねぇ。」


「これが一番、私らしい気がするよ。」


「そうか。」


ハルは小さく頷く。


膝の上の携帯端末を開き、そっと入力する。


服装:食堂制服を基調とする。


「ねえ。」


「何を書いてるんだい?」


「ああ。」


「宿題だ。」

挿絵(By みてみん)


「難しそうな顔してるじゃないか。」


「そう見えるか。」


「見えるよ。」


チズルはくすりと笑った。


ハルも少し笑う。


「もう一つ聞いていいか。」


「まだあるのかい。」


「女の子の髪型ってさ。」


「どんなのが可愛いと思う。」


チズルは少し考えてから答えた。


「私はね。」


「今のミオちゃんとか。」


「昔のさぎりちゃんとか。」


「あの髪型。」


「ツインテールって言うんだったかね。」


「見てると可愛いなぁって思うよ。」


「なるほど。」


ハルはまた端末へ入力する。


髪型:ツインテール。


そして心の中で決めた。


――髪の色は。


チズルと同じ栗色にしよう。


これは単にハルの趣向だった。


食堂には、その色がよく馴染む気がした。


「また何か書いてるねぇ。」


「ああ。」


「難しそうな顔してるじゃないか。」


「そう見えるか。」


「見えるよ。」


チズルは笑う。


「最後。」


ハルが言う。


「女の子の声って。」


「どんな声が好きなんだ?。」


チズルは湯のみを置いた。


「そうだねぇ。」


「やっぱり。」


「よく通る声かな。」


「元気で。」


「聞いてるだけで明るくなるような。」


「そんな女の子らしい声がいいね。」


ハルは静かに頷き、端末へ入力する。


音声:明るく、よく通る少女の声。


チズルは笑いながら首を傾げる。


「今日は変なことばかり聞くんだねぇ。」


「そうか。」


「そうだよ。」


「まあ。」


「たまにはこんな日もある。」


ハルは湯のみを持ち上げ、お茶を一口飲んだ。


その顔には、少しだけ満足そうな笑みが浮かんでいた。



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