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平和国家ユートリア ―人類の終着点―  作者: Kk


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第七十六話 会いにくる

◆アルマ


白い廊下。


我々は進んでいた。


汚れ一つない。


白。


静かすぎる空間。


それが。


逆に不気味だった。


ヴィクトール様ですら。


少し躊躇するほど。


そのとき。


兵士が呟く。


「ここは……」


大広間。


天井は異常に高い。


五階層分。


中央床には。


歪んだ六芒星。


無理やり捻じ曲げられていた。


不快な模様。


そして。


壁中に扉。


無数。


嫌な予感しかしない。


我々が部屋中央まで進んだ。


その瞬間。


声。


「お待ちしておりました」


全員が武器を構える。


三階中央の扉。


そこから。


信徒が現れる。


さらに。


「我々はあなた方を排除します」


二階右。


また一人。


「なぜなら」


「あなた方が攻めてくるからです」


五階左。


また現れる。


扉が。


次々と開いていく。


まずい。


数が多すぎる。


ヴィクトールが冷たく言い放つ。


「貴様らが」


「世界会議の招集を拒否したからだ」


すると。


信徒は平然と返した。


「我々は」


「教国内から出るつもりはありません」


ヴィクトールが睨む。


「国際法違反の国家が現れたのだぞ?」


「興味ありません」


即答。


ヴィクトールの顔が歪む。


「貴様らぁぁ……!!」


怒り。


そして。


能力発動。


「『放電現象』」


不気味な音と光。


周囲の信徒が。


一斉に崩れ落ちる。


だが。


次の瞬間。


扉の奥。


また人影。


次々と。


信徒が現れる。


そして。


本を持ったまま。


突撃してくる。


五階の者ですら。


ヴィクトールが叫ぶ。


「アルマ!!」


アルマは即座に反応した。


「『最高防御』!!」


結界を張る。


信徒たちが。


本を開きながら突っ込んでくる。


黒球。


連続。


だが。


アルマは気づいていた。


これは。


“トリプレッツの大侵攻”


あの悪夢と似ている。


いや。


それ以上。


骸骨兵は。


単純だった。


だが。


こいつらは違う。


人間。


動きが違う。


考え方も違う。


しかも。


どこの扉からくるか分からない。


まずい。


悪夢が。


また始まる。






……。


どれほど経ったのか。


恐らく。


そんなに時間は経っていない。


だが。


感覚は狂っていた。


ヴィクトールの『放電現象』


アルマの『最高防御』


繰り返す。


繰り返す。


繰り返す。


だが。


以前のようにはいかない。


相手が。


人間だから。


同じ動きをしない。


だから。


対応に差が出る。


その隙を。


信徒たちが突いてくる。


兵士が。


また一人。


また一人。


消えていく。


そのとき。


ヴィクトールが絶叫した。


「いい加減にしろぉぉぉ!!!!」


怒号。


「ルミナス!!!!」


空気が震える。


ヴィクトールは続けた。


「信徒を何だと思っている!!!」


「ルミナスに会わせろぉぉぉ!!!!」


その瞬間。


信徒たちが止まる。


静寂。


そして。


唯一。


開いていなかった扉。


一階正面。


そこが。


ゆっくり開く。


現れたのは。


老人。


白と金の巨大な帽子。


純白の法衣。


首には。


十字架。


アルマが息を呑む。


こいつが。


“世界最悪”


教皇ルミナス。


ヴィクトールが固まる。


「お前が……ルミナスか?」


老人は静かに頷く。


「はい」


「ルミナスです」


本物。


なのか?


ヴィクトールが睨む。


「殺されに来たのか?」


「それとも罠か?」


すると。


ルミナスは首を傾げた。


「罠?」


「殺されに?」


本当に。


意味が分からないという顔。


そして。


平然と言った。


「会いたいと言われたので」


「会いに来ました」


アルマの背筋が凍る。


なんなんだ。


こいつは。


不気味すぎる。


ヴィクトールが低く聞く。


「ならば」


「最初から会いたいと言えば」


「会っていたのか?」


ルミナスは即答した。


「はい」


沈黙。


ヴィクトールが呟く。


「……やはり狂っているな」


そして。


武器を構える。


「殺す」


だが。


ルミナスは。


全く怯えない。


静かに言った。


「殺すのは構いませんが」


「最後に少し」


「お話ししませんか?」


静寂。


誰も動けない。


なぜか。


全く罠に見えない。


それが逆に。


我々を。


恐怖させていた。

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