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平和国家ユートリア ―人類の終着点―  作者: Kk


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第六十七話 消耗する

◆アルマ


ヴィクトール軍が到着した。


目の前。


広がるのは。


黒。


地平線まで埋め尽くす。


濁流。


いや。


骸骨兵。


バルゼイン兵たちが応戦している。


だが。


見れば分かる。


劣勢。


押されている。


アルマが唇を噛む。


「くそ……」


「ここまで押されるなんて……」


すると。


ヴィクトールが静かに言った。


「仕方のないことだ」


「あの兵たちは普通ではない」


そして。


そのまま戦場へ踏み込む。


「『放電現象』」


不気味な音と光。


次の瞬間。


周囲一帯の骸骨兵が。


一斉に崩れ落ちた。


圧倒的。


国家級戦力。


だが。


それでも。


敵は止まらない。


アルマが能力を展開する。


「『最高防御』」


半透明の青い結界。


骸骨兵たちが。


気にせず進軍する。


斬る。


叩く。


自分達で潰れる。


それでも。


次が来る。


終わらない。


ヴィクトールが苦笑した。


「どうやら」


「これを繰り返すしかないらしい」


アルマの背筋が冷える。


繰り返す?


いつまで?


これはもう。


戦争ではない。


途方もない。


消耗戦だった。






◆レイナ


少しずつ。


骸骨兵をルークへ変えていく。


形勢は。


徐々に逆転していた。


だが。


思ったより。


ルークが増えない。


理由は。


同化の瞬間にあった。


本来なら存在しない。


ルークの弱点。


ルークの黒い手が触れる。


敵兵は。


ルークへ変わり始める。


だが。


完全同化まで。


約三秒。


普通なら。


その変化を見てしまう。


味方が。


別人へ変わるのだから。


恐怖。


混乱。


絶望。


理解不能。


多くの感情が。


敵の動きを止める。


だが。


こいつらは違う。


変化中の味方すら。


躊躇なく斬る。


だから。


ルークになる前に死ぬ。


レイナたちは。


疲労と戦いながら。


ルークを守るしかなかった。






◆グレン


限界が近い。


バルゼインも。


ユートリアも。


思ったほど押し返せていない。


数の暴力。


それほどまでなのか。


いや、この異様な敵が。


国家級戦力ですら。


苦しめているのか。


セラが前方を指差した。


「まずいわね……」


グレンも見る。


α。


β。


γ。


明らかに疲労が見えていた。


まずい。


グレンの顔色が変わる。


子供たちが倒れれば。


前線は崩壊する。


そのとき。


セラが小さく呟いた。


「……いよいよ」


「進言するしかないか……」


グレンが聞き返す。


「なんて?」


セラは答えない。


そして。


静かに振り返った。


「グレン」


「後は仕切りなさい」


「は!?」


突然だった。


セラはそのまま。


王都方向へ走り出す。


グレンは。


ただ呆然と。


その背中を見ることしかできなかった。

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