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平和国家ユートリア ―人類の終着点―  作者: Kk


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第六十六話 対抗する

◆アルマ


休む間もなく走っていた。


すでに。


“トリプレッツの大侵攻”は始まっている。


バルゼインは。


劣勢だった。


ただ進むだけの軍勢。


それに、押されている。


強国として。


あってはならない事態。


数の暴力。


ただそれだけに。


屈し始めていた。


アルマが兵へ聞く。


「我が軍の数は?」


兵が即座に答える。


「現在」


「前線総数は三百万です!!」


少ない。


アルマは顔をしかめる。


バルゼイン全体では。


総兵力八百万近い兵が存在する。


なのに。


なぜ。


すると。


ヴィクトールが静かに答えた。


「各国境沿いへ兵を配置している」


「さらにヴァルディアへの対応もある」


「領土を取りすぎた代償だ」


アルマは息を呑む。


こんな状況でも。


即座に返答する。


やはり。


ヴィクトール様は凄い。


……惚れ直している場合ではない。


本当に。


国が危険なのだから。






◆グレン


リグナは、元々小国だった。


グランゼル領を得て。


国土は広がった。


だが。


兵が増えた訳ではない。


グランゼル工作員の影響で。


難民受け入れも縮小されていた。


現在。


リグナ軍総数は延べ三十万。


対する敵は。


一千万。


勝負にならない。


だが。


子供たちは躍動していた。


そのとき。


一つの報告が届く。


「毒が……効く?」


グレンが目を見開く。


骸骨なのに……


生命体なのか?


少しだけ。


勝機が見えた。


だが、その勝機は。


我々が作るものではない。


セラが冷たく言う。


「結局」


「他国頼りね」


その通りだった。


任せるしかない。


“バルゼインの放電現象”


そして。


“平和国家ユートリア”


世界最強格の二つへ。






◆レイナ


戦争は。


激化していた。


「うおおおおおお!!!!」


レイヴンが突撃する。


骸骨兵を吹き飛ばす。


シェラが能力を放つ。


「『重牢』」


重力が落ちる。


ドルガが続く。


「『泥獄』」


地面が沈む。


骸骨兵が埋まっていく。


だが。


止まらない。


敵は。


一切躊躇しない。


普通なら。


泥へ踏み込まない。


普通なら。


衝撃で足を止める。


だが。


それがない。


だから。


気味が悪いほど戦いづらい。


レイナも指を鳴らした。


――パチン。


爆発。


骸骨兵が吹き飛ぶ。


バラバラになる。


煙が舞う。


だが。


次の瞬間。


煙の中から。


また現れる。


爆風すら。


関係ない。


侵攻だけを続ける。


レイナが歯を食いしばる。


「止まらない……」


そのとき。


突然。


ルークが口を開いた。


「朗報です」


全員が振り向く。


ルークは静かに言う。


「彼らは同化できます」


沈黙。


そして。


レイナたちは目を見開く。


同化。


つまり。


生命体。


この軍勢を。


ルークへ変えられる。


希望が湧いた。


幹部たちの表情が変わる。


喜び。


安堵。


だが、誰も気づいていなかった。


ルークの能力の弱点に。

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