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平和国家ユートリア ―人類の終着点―  作者: Kk


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第五十二話 変わる

◆レイナ


衝撃の資料が届いた。


セレニア連合国崩壊。


王エヴァルト処刑。


会議室が静まり返る。


幹部たちですら。


言葉を失っていた。


そんな中。


ルークが静かに言う。


「やりますねぇ、お孫さん」


ノルンは反応しない。


ただ。


黙って資料を見つめていた。


シェラが呟く。


「やはりあの人は」


「最強だ」


空気が重い。


私は思わず口にした。


「あれだけの天才でも勝てないなんて……」


すると。


ルークが首をかしげる。


「天才? はて、誰が?」


「何を言ってるの!?」


思わず強い口調になる。


しかしルークは冷静に答える。


「エヴァルトが天才?」


「“バルゼインの放電現象”を数年前から対策して」


「それでも勝てない」


「そのどこが天才なのでしょうか?」


こいつ……。


ルークは笑う。


「まぁ」


「努力賞くらいはあげてもいいでしょう」


腹が立つ。


だが。


そのルークが。


急に真顔になった。


「それよりも、こちらの方が重要です」


一枚の資料を差し出す。


ヴァルディア帝国。


帝失脚。


総選挙。


その結果。


レオナール勝利。


「レオナール??」


私が首をかしげると。


「がはは!!」


レイヴンが大笑いした。


「俺でもその名は知っているぞ!!」


むかつく。


いつも以上にむかつく。


すると。


ドルガが静かに説明する。


「これまで多くの戦果を挙げてきた男だ」


「“大英雄レオナール”」


大英雄。


「ただの英雄じゃないの?」


私が聞く。


ドルガは続けた。


「奴はこれまで」


「数多くの劣勢をひっくり返してきた」


「しかもヴィクトールのような強さではない」


「能力『士気向上』によってな」


士気?


確かに戦争では重要。


でも、それだけで?


私の表情を見て。


ルークが説明する。


「士気は人の力を数倍に引き上げます」


「彼が一人いるだけで兵力が大幅に増加する」


そして。


少しだけ表情を曇らせた。


「さらに、その能力範囲は」


「軍全体」


な……。


会議室の空気が変わる。


ルークが呟いた。


「これは……」


「少し面倒ですねぇ」


イヤリングの赤い宝石は輝いていなかった。






◆イリス


ついに!


ついに!!


レオナール様が王となられた!!!


レオナール様は帝位を拒否した。


奪ったのは権力だけ。


国の歴史までは奪わなかった。


ずっと側近として仕えてきた私にとって。


これ以上ない喜びだった。


これで。


この国は変わる。


確実に。


いい方向へ。


国民たちが熱狂する中。


レオナール様が前へ出る。


静寂。


誰もが。


その言葉を待っていた。


そして。


レオナール様が口を開く。


「私が王になれたことに感謝する」


低く。


力強い声。


「多くの言葉はいらない」


「私は結果で示す」


誰もが息をのむ。


そして。


レオナール様は言った。


「まずはノクシアを」


「終わらせる」


その瞬間。


「おおおおおおおおお!!!!」


怒号のような歓声が響く。


地面が揺れるほどの熱狂。


私は震えていた。


いよいよ始まる。


新ヴァルディア帝国が、動き出す。

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