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平和国家ユートリア ―人類の終着点―  作者: Kk


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第五十一話 下る

◆マルクス


我々は至急討伐隊を組み。


反乱の撃退を指示した。


しかし……。


エヴァルトは。


ただ上を向き。


目を閉じていた。


初めて見る顔。


それは。


諦めの顔だった。


誰よりも知能が高い。


天才であるがゆえに。


この状況が。


もはや取り返しのつかないものだと。


理解してしまっていた。


リゼの裏切り。


それによるアーデル死亡。


ヴィクトールは。


もはや後方を憂う必要がない。


三日どころではない。


今のセレニアでは。


一日ヴィクトールを止めることすら。


限界だった。


そのとき。


兵士が駆け込んでくる。


「ヴィクトール軍が迷宮を突破しました!!」


静寂。


エヴァルトが呟く。


「……ここまでだな」


誰も反論できない。


エヴァルトは静かに振り返った。


「お前たち」


「これまでよくやってくれた」


その声は穏やかだった。


「今までありがとう」


「エヴァルト様……」


マルクスたちは。


誰も動かなかった。


そして。


武器を下ろした。


涙がこぼれる。


我々は負けたのだ。


最強に。






◆アルマ


地図のおかげで。


迷宮は難なく突破できた。


そして。


外へ出る。


そこには。


武器を持たぬ兵たちが並んでいた。


その前へ。


一人の男が進み出る。


エヴァルト。


静寂。


ヴィクトール様も前へ出る。


二人が向かい合った。


「お前がエヴァルトか」


ヴィクトールが言う。


エヴァルトも返す。


「お前がヴィクトールか」


確認。


最強と天才。


ヴィクトール様が。


初めて焦った敵。


その姿は。


勇々しかった。


エヴァルトが静かに言う。


「凄まじいものを見せてもらった」


「最後は身から出た錆が勝敗を分けるとは」


リゼのことだ。


すると。


ヴィクトールが口を開く。


「彼女が私欲を優先しなければ」


「我々は負けていた」


全員が息をのむ。


ヴィクトール様が。


初めて敗北の可能性を語った。


エヴァルトは目を閉じる。


そして。


ゆっくり頭を下げた。


「どうか」


「残りの兵と民を見逃してはくれないか?」


ヴィクトールは答える。


「お前に免じて」


「これ以上の被害は出さないでやろう」


慈悲。


安堵が広がる。


だが。


ヴィクトールの目は鋭かった。


「お前はどうする?」


その問いに。


エヴァルトは迷わず答える。


「決まっている」


「バルゼイン王国へ投降する」


空気が凍る。


「エヴァルト様!!それは!!!」


兵士たちが叫ぶ。


王が投降する。


それは。


バルゼインで処刑されるということ。


民衆から辱めを受け。


罪人として死ぬ。


それでも。


エヴァルトは表情を変えなかった。


「わかった」


「では拘束する」


こうして。


セレニア連合国は。


バルゼイン王国に下った。

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