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平和国家ユートリア ―人類の終着点―  作者: Kk


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第三十六話 終わる

◆レイナ


終わった。


静かだった。


煙。


血。


壊れた地面。


その中心。


ルークが立っている。


ロキは死んだ。


エルナも。


もう。


ルークを止める手段はない。


レイナは動けなかった。


理解してしまったから。


どれだけ抗っても。


ルークは倒せない。


たとえ。


天敵でも。


仲間でも。


全部。


届かなかった。


そして、気づいてしまう。


そもそも。


ルークは間違っていない。


レイナは俯く。


私は。


何をしていた?


兄を殺した。


仲間を殺した。


たくさん人を殺した。


シオンを助ける?


守りたい?


平和な世界?


全部。


綺麗事だった。


そして。


その綺麗事が、争いを生み。


不幸を作る。


欲。


感情。


願い。


全部。


人を壊していく。


レイナの脳裏に。


今までの光景が流れる。


戦争。


死体。


泣き声。


怒号。


憎しみ。


全部。


人間が作った。


そうか。


レイナは小さく目を閉じる。


ルークは。


最初から知っていたのか。


だから。


こんな国を作った。


全部。


理解してしまう。


理解できてしまう。


絶望の終着点。


希望の終着点。


ユートリア。


全ての思想は。


最後はここへ辿り着く。


人の旅は、終わるんだ。


そのとき。


ふと。


頭の奥で声が響いた。


“人はまだ、旅の途中だよ”


ロキ。


レイナの目が少しだけ揺れる。


……旅?


でも。


レイナは小さく息を吐いた。


「……もういいや」


「疲れた」


疲れていた。


考えることも。


抗うことも。


全部。


限界だった。


静かな足音。


エルナとロキを“同化”させたルークが、近づいてくる。


そして。


レイナの前で止まった。


静かな目。


感情の薄い顔。


でも。


まるで。


全部を受け入れているみたいだった。


ルークが口を開く。


「レイナさん」


静かな声。


「もう一度だけ聞きます」


沈黙。


そして。


「仲間になりますか?」


風が吹く。


ルークのイヤリングの赤い宝石が光る。


遠くでは。


ユートリアの鐘が鳴っていた。


レイナはゆっくり顔を上げる。


そして。


静かに答えた。


「……はい」

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