表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
平和国家ユートリア ―人類の終着点―  作者: Kk


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

35/81

三十五話 崩れる

◆エルナ


激痛。


熱い。


何が起きたのか。


理解が遅れる。


地面。


血。


そして。


無くなった両足。


「あ……」


声が漏れる。


でも。


痛みより先に。


別の感情が浮かんだ。


疑問。


何故。


ノルンがここにいる?


偶然?


ありえない。


なら。


読まれていた。


全部。


ルークに。


逃げることも。


暴れることも。


反抗することも。


全部。


最初から。


絶望が胸を潰す。


ノルンが静かに杖を向けた。


「じゃ、終わりにしようかねぇ」


能力が発動する。


その瞬間。


「やめろぉ!!!」


「!?」


ノルンの能力が消える。


ロキだった。


ノルンが舌打ちする。


「……ちっ」


ロキは武器を構える。


空気が変わる。






◆レイナ


ただ。


見ていた。


頭が追いついていないわけじゃない。


逆だった。


エルナ。


ロキ。


二人が。


希望に見えた。


自分だけじゃない。


ルークに抗おうとしている人間がいる。


その事実だけで。


胸の奥が少し熱くなる。


だから。


見ていた。


光を。






◆エルナ


ロキとノルンが向き合う。


ノルンが笑う。


「お前さんが勝てるとでも?」


ロキは静かだった。


「僕は勝てない」


そして。


後ろを見る。


「でも、エルナなら!!」


エルナの目が揺れる。


混乱。


どうして、ロキが味方?


何故。


助ける?


でも。


考える時間はなかった。


激痛。


血。


意識が飛びそうになる。


それでも。


能力を発動する。


「『オーバードライブ』」


空気が震える。


ノルンが目を細めた。


「……こりゃまずいねぇ」


エルナが左腕を地面へ叩きつける。


反動で、身体が跳ねる。


そして。


右拳を。


ノルンへ叩き込む。


でも。


ノルンは笑った。


「一人だったらねぇ」


次の瞬間。


重力。


空間が沈む。


シェラ。


能力発動。


ロキとエルナが。


地面へ叩きつけられる。


骨が軋む。


動けない。


ノルンが近づく。


杖。


ロキへ叩き込む。


鈍い音。


そして。


剣。


エルナを突き刺す。


血が飛ぶ。


そのとき。


静かな足音。


ルーク。


歩いてくる。


その瞬間。


レイナは悟った。


あ、だめだ。


勝てない。


そういう話じゃない。


勝負になっていない。


全部。


ルークの掌の上だった。


ルークが静かに言う。


「最初の仲間は」


「裏切るのが歴史の常識なんですよ」


エルナの目が揺れる。


間違っていた。


最初から。


でも。


楽しかった。


仲間と過ごした時間。


笑った時間。


ルークと出会ってからの全ての時間。


全部。


本物だった。


だから。


涙が出た。


その横。


ロキが小さく呟く。


「ありがとう」


エルナが見る。


ロキ。


でも。


違う。


「産んでくれてありがとう」


「お母さん」


空気が止まる。


エルナの目が見開かれる。


そして。


次の瞬間。


全部理解した。


小さく笑った。


「あぁ」


エルナの目から涙が落ちる。


「そこにいたのね」


「ロイ」


静寂。


そして。


黒い手が二人を包む。


肉。


骨。


顔。


全部。


変わっていく。


最後に残ったのは。


ルークだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ