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平和国家ユートリア ―人類の終着点―  作者: Kk


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第三十話 隣接する

◆ノクシア王国


戦況は変わっていた。


「ヴァルディア帝国軍後退!!」


「北東戦線押し返しました!!」


怒号。


でも。


以前とは違う。


希望があった。


ノクシア王国は立て直し始めていた。


理由は単純。


ユートリア。


バルゼイン南部を抑えたことで。


ノクシアは戦力を集中できるようになった。


その結果。


崩れていた戦線が戻り始める。


将軍が地図を見る。


「……五分まで戻したか」


別の男が低く言う。


「今しかない」


空気が変わる。


「ユートリアを潰す」


沈黙。


でも。


誰も否定しない。


今のユートリアは危険すぎる。


ルーク。


無数の分身。


異常な国家統制。


放置すれば、必ず飲み込まれる。


バルゼインと戦争している今が好機。


ノクシア王も静かに頷いた。


その瞬間だった。


兵士が駆け込んでくる。


「報告!!」


「ユートリア軍、全面撤退!!」


空気が止まる。


「……何?」


将軍が目を見開く。


さらに続く。


「同盟破棄を通達!!」


「理由は……」


兵士が言葉を詰まらせる。


「“ユートリア侵攻計画を確認したため”とのことです」


沈黙。


誰も喋れなかった。


今の会話が漏れているわけがない。


読まれていた。


最初から。


全部。


ノクシア王が歯を食いしばる。


「……またか」


ユートリア軍は戦争を辞めた。


その結果。


ノクシアは再び。


バルゼインとヴァルディアへの防衛を強いられることになった。






◆ドルガ


侵攻は止まった。


バルゼイン南部。


そこまで。


それ以上は進まない。


ドルガが地図を見る。


「……本当に止まるのか」


シェラも静かに言う。


「普通なら、このまま押し込む」


でも。


ルークは進軍命令を出さなかった。


静かな声。


「これ以上攻めると」


「ノクシアが攻撃してきます」


「少しずつ着実にいきましょう」


ドルガは何も言えなかった。


ルークは、ずっと冷静だった。






◆グレン


戦争は続いていた。


でも。


以前とは違う。


「押し返せ!!」


「レイナ!!」


爆音。


敵陣が吹き飛ぶ。


グランゼル兵が崩れる。


レイナ。


彼女の存在で。


前線は大きく変わっていた。


グレンが笑う。


「完全に戦局変えてるな」


セラも資料を見ながら頷く。


「戦術単位としては異常」


「正直、一人で戦争をしているレベル」


でも。


リグナは押し込めない。


レイナが動けば。


味方ごと吹き飛ぶ。


一人で攻めさせると。


遠距離から狙撃される危険性がある。


扱いが難しい。


加えて、工作による内部崩壊。


元々の国力差。


兵力。


物資。


疲弊。


全部が重かった。


だから。


領土は取れない。


防衛だけ。


だが、グランゼル側も限界だった。


死者。


レインの死による兵の弱体化。


物資不足。


長期戦。


将校が吐き捨てる。


「……続けても無駄だ」


そして。


停戦交渉。


即成立。


勝者はいない。


疲弊だけが残った。






◆レイナ


静かな部屋。


机の上に新しい資料が置かれる。


レイナは目を通す。


ユートリア。


勢力拡大。


バルゼイン南部掌握。


そして。


現在位置。


レイナの目が止まる。


「……隣接」


ユートリアと。


リグナが。


繋がった。


空気が少し重くなる。


ルーク。


平和国家。


感情低下。


異常国家。


全部、嫌な予感しかしなかった。

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