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平和国家ユートリア ―人類の終着点―  作者: Kk


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第二十五話 再会する

◆グレン


戦争はさらに激しくなっていた。


死体。


煙。


怒号。


毎日、人が死んでいた。


前線はもう限界だった。


だがそれはグランゼルも同じ。


「グランゼル側能力者接近!!」


兵士が叫ぶ。


空気が変わった。


静かだった。


それなのに。


嫌な感じだけが広がる。


グレンが顔をしかめる。


……何か来る。


「グレン、下がって」


「あれは駄目」


セラが初めて焦った声を出す。


前線の向こう。


一人の男が歩いてくる。


黒い外套。


静かな目。


兵士たちが息を呑む。


男は足を止める。


そして。


小さく呟く。


「『毒界』」


次の瞬間。


空気が変わった。


黒い霧。


戦場へ広がる。


兵士が霧に触れる。


「え……?」


崩れた。


一人。


また一人。


皮膚が黒く変色する。


血を吐く。


倒れる。


「毒だぁ!!」


「逃げろぉ!!」


無理だった。


空気そのものが毒になっている。


逃げ場がない。


地面へ毒が落ちる。


草が黒く腐る。


戦場が、一瞬で“殺戮場”へ変わった。






◆シオン


後方。


シオンは毒霧を見る。


サモンを出す。


巨大な異形。


でも。


止まる。


シオンの顔が曇った。


届かない。


毒霧が広すぎる。


サモンの操作範囲を超えている。


無理に近づけば。


私も死ぬ。


兵士が叫ぶ。


「召喚能力者!!どうにかしろ!!」


シオンは唇を噛む。


何もできない。


初めてだった。


戦場で。


止められない相手。


前線は崩れ続ける。


兵士たちが倒れる。


シオンは拳を握る。


でも。


届かない。






◆レイナ


毒霧。


悲鳴。


死体。


その中心。


レイン。


レイナは目を見開く。


記憶が蘇る。


幼い頃。


兄は特別だった。


能力。


才能。


全部。


周囲は兄ばかり見ていた。


「レインはすごいな」


「一人で国の兵力が数段上がるらしい」


「逸材だ」


その隣で。


レイナは比較される。


「妹は駄目だな」


「能力は強いらしいが」


「周りまで吹き飛ぶらしい」


「失敗作だ」


悔しかった。


苦しかった。


でも。


それ以上に。


兄へ憧れていた。


だが。


兄は壊れた。


ある日。


倒れている父母。


黒い血。


レインは立っていた。


静かに。


感情なく。


“なんとなく”。


毒を与えた。


それだけだった。


悪意すらなかった。


レイナは震える。


恐怖。


怒り。


嫉妬。


尊敬。


全部が混ざる。


そのとき。


前線から叫び声。


「もう持たない!!」


レイナは前を見る。


『毒界』か。


このままでは全滅する。


……いよいよか。


指を構える。


指を鳴らす。


轟音。


地面が爆ぜる。


爆風。


毒霧が吹き飛ぶ。


視界が開けた。


兵士がいない。


毒で死んだ。


だから巻き込まない。


煙の向こう。


レインが爆風を食らう。


膝をつく。


だが、回避しない。


いや。


できない。


静寂。


そして。


レインが顔を上げる。


レイナを見る。


感情の薄い目。


「……久しぶりだな」


レイナは何も答えられなかった。

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