第5話 誓いの丘
信長に連れられ、五人は町を抜けていた。
やがて信長は大通りを外れ、細いわき道へ入っていく。一体どこへ行くつもりなのか。
「ねえ、どこ行くの?」
小春が何度訊ねても、信長は答えない。
「聞くだけ無駄だぞ」
隣を歩く春一が言った。
「昨日からずっと気になってるんだもん」
「着けば分かるんだろ」
「春一はようやく分かってきたようだな」
信長が前を向いたまま言う。
「お前の扱いにな」
「無礼な奴よ」
「今さらだろ」
信長の眉がぴくりと動き、その後ろで日吉丸が声を上げて笑った。
「春一は信長様にも遠慮せんのじゃな!」
「お前も昨日『織田は小さい』って言っただろ」
「事実じゃ!」
「日吉丸」
信長の低い声が飛ぶ。
「なんじゃ?」
「うぬは黙って歩け」
「また怒っとる」
「お前のせいだよ」
小春は笑いながら、竹千代の手を握り直した。竹千代も昨日までよりずっと自然に、五人の中を歩いている。
「日吉丸、結局今日も遠江に行かなかったね」
「この場所を見てから行く!」
「昨日はご飯食べてからって言ってなかった?」
「明日行けばよい!」
「どんどん延びてるぞ」
春一が呆れる。
「大丈夫じゃ!」
「何が大丈夫なのか分からないんだけど」
そんな話をしながら、緩やかな傾斜を登っていく。
やがて、ふっと視界が開けた。
「……わあ」
小春は思わず足を止めた。
そこは、小高い丘の上だった。
眼下に広がる田畑は夕焼けに赤く染まり、風に揺れる稲穂が燃え上がるように輝いている。ところどころに家はあるが、高い建物などどこにもない。その向こうには、広い空と大地がどこまでも続いていた。
「……すごい」
小春がぽつりと呟く。
春一も、その隣でしばらく何も言わなかった。
「絶景だな」
「うん」
戦国時代。
その言葉から想像していたものとは、少し違った。もっと血なまぐさく、恐ろしく、暗いものだと思っていた。
けれど、目の前に広がる景色は驚くほど静かで、美しい。
「遠江は、あの空の向こうじゃろか」
日吉丸が地平線を眺めながら呟いた。
「まだ行く気あるんだ」
「当たり前じゃ!」
「ほんとかなぁ」
「ほんとじゃ!」
日吉丸がむっとする。
「今川へ行って、わしは侍になるんじゃ」
その言葉を聞いて、竹千代がほんの少し俯いた。
信長がそれに気づく。
「うぬが本来送られるはずだったところでもあるな」
「信長!」
小春がすぐに睨んだ。
「また余計なこと言う!」
「事実ぞ」
「事実でも言わなくていいことがあるの!」
「昨日から何度同じ話してるんだ、お前ら」
春一が呆れる。
「信長、少しは学べ」
「何故、俺がうぬらに教えられねばならぬ」
「そういうところだよ」
小春は信長の頬へ手を伸ばし、むに、と抓った。
「……うぬ」
「あんたも抓られる側になって反省しなさい」
「信長の頬を抓るとは、命知らずな奴よ」
「あ、そう。げんこつの方がよかった?」
「小春、やめとけ」
春一が止める。
「信長が本気で怒る前にな」
「兄ちゃんは信長の味方なの?」
「お前が調子に乗りすぎなんだよ」
小春は渋々手を離した。
信長は頬を擦りながら、不機嫌そうに小春を見る。
織田信長。冷徹な戦国武将。強烈なカリスマを持ち、後世では魔王とまで呼ばれる男。
小春が知っているのは、そんな歴史上の織田信長だった。
けれど、ここ数日一緒に過ごした信長は違う。口が悪くて、生意気で、人を振り回して、負けず嫌い。それでも時折、十五歳らしい顔で笑う少年だった。
これがどうして、あの織田信長になるのだろう。
小春には、まだ想像もつかなかった。
五人はしばらく何も言わず、景色を眺めた。風が稲穂を揺らし、夕日が大地を赤く染めている。
こんなのどかな景色だけを見ていれば、ここが乱世だなんて信じられない。
けれど、竹千代がここにいる。
七歳で親元を離され、人質として運ばれ、家臣の裏切りによって織田へ送られた少年。日吉丸は十三歳で家を出た。貧しい家を助け、自分も上へ行くために。そして信長は十五歳で、城主として家を背負っている。
春一も小春も、それをたった数日の間に目の当たりにした。
「……早く、平和になればいいのにね」
小春がぽつりと呟いた。
竹千代が顔を上げる。
「へいわ、とは?」
「んー……」
小春が考えていると、信長が先に答えた。
「泰平の世よ」
「そう、それ」
小春は頷く。
「戦がなくて、みんなが普通に暮らせる世の中。家族と一緒に暮らせて、人質にされたり、親と子が離ればなれになったりすることも――」
そこまで言った瞬間、小春ははっとした。
「……あ」
竹千代が俯いていた。
昨日、小春に尋ねた少年。寂しい時は、どうすればいいのか。
小さな肩が震えている。
「……小春」
春一が小さく名前を呼んだ。
「うぬは馬鹿か」
信長が冷たく言う。
「……分かってるよ」
小春は唇を噛んだ。
「ごめん、竹千代」
竹千代は答えなかった。
泣いてはならない。
そう自分に言い聞かせているのだろう。ここ数日、ずっとそうしていた。
それでも、大きな瞳からぽろりと一粒、涙が零れた。
「……っ」
一度零れてしまえば、もう止められなかった。竹千代は声を殺すように泣き始める。
日吉丸がおろおろする。
「た、竹千代……」
春一も困ったように眉を寄せた。
小春は慌てて懐を探る。指先に触れたのは、いつも持ち歩いていたペンケースだった。
「あ……」
中を開くと、新品の消しゴムが入っている。
小春はそれを取り出し、油性ペンで真ん中に黒い星を描いた。
「小春、何してる?」
「ちょっと待って」
カッターナイフを取り出し、星を真ん中から割るように消しゴムを二つに切る。その片方を竹千代へ差し出した。
「はい」
竹千代が涙の残る目で見つめる。
「……これは?」
「お守り」
「おまもり……?」
「うん」
小春は笑った。
「昨日、話したでしょ」
竹千代が小さく瞬きをする。
「寂しい時は、誰かがそばにいるって思えると、少しだけ安心するって」
「…………」
「ひとりで怖くなった時に、これを握って」
小春は竹千代の小さな手へ、消しゴムを乗せた。
「そうしたら、私がそばにいるって思い出せるでしょ?」
「小春殿が……」
「うん」
竹千代は手の中のお守りを見つめた。黒い星が途中で切れている。
もう半分は、小春の手の中にあった。
「私も半分持ってるから」
竹千代はぎゅっと、それを握った。
「……ありがとうございます」
涙は、いつの間にか止まっていた。
そして小春に向かって笑う。その笑顔があまりにも素直で、小春の胸がきゅっとした。
「やっぱり竹千代、可愛い」
「か、可愛い……」
「うん」
その時、信長が竹千代の手元を覗き込んだ。
「ただのゴミぞ」
「お前は!」
春一が信長の肩を掴んだ。
「今は黙ってろ」
「お兄ちゃん、そのまま押さえといて」
「任せろ」
「離せ!」
「ありがと、小春殿」
竹千代は大切そうに両手でお守りを包み込んだ。
日吉丸も興味津々で覗き込む。
「不思議なもんじゃな!」
「日吉丸にはあげないよ」
「まだ何も言っとらん!」
「顔に書いてある」
「なんじゃと!」
小春が笑うと、竹千代もまたほんの少し笑った。
夕焼けの中に五人の声が響く。さっきまで泣いていたことすら忘れてしまいそうなほど、穏やかな時間だった。
「でも」
小春は再び大地へ目を向けた。
「泰平の世にするには、今の流れを変えないといけないんだよね」
「流れ?」
日吉丸が首を傾げる。
「うん。なんかこう……乱世の流れを、ずばーんって打ち破るような人が必要でしょ?」
「ずばーんとは何ぞ」
信長が言う。
「雰囲気!」
「分からぬ」
「私も上手く説明できないの!」
その隣で春一が小さく笑う。
信長は夕日に染まる大地を見つめた。
「ならば」
その声に、小春は振り向いた。
「俺が打ち破ろうぞ」
まだ十五歳の少年。
けれど、その横顔に一瞬だけ、何か人並みではないものを見た気がした。昨日、織田が小さいと言われて本気で機嫌を悪くしていた少年と同じ人物には見えない。
春一も黙って信長を見ていた。
「わしも!」
日吉丸が声を上げる。
「わしは侍になる!」
「それは知ってる」
「そんで、偉くなる!」
「それも聞いた」
「その先じゃ!」
日吉丸は胸を張った。
「わしも、泰平のために働く!」
「うん」
小春は笑う。
「乱世を変えるだけじゃダメだからね。その先に、みんなが暮らせる世を作らないと」
「なら、わしが作る!」
「でっかく出たな」
春一が笑った。
「わしはでっかくなる男じゃ!」
「まず今川まで辿り着け」
「明日行く!」
「また明日かよ」
春一が呆れる。
竹千代が、お守りを握ったまま小春の服の裾を引いた。
「小春殿」
「ん?」
「泰平の世になれば……悲しいことは、なくなりますか?」
小春は少し考えた。
「全部なくなるかは、分からない」
「…………」
「でも」
小春はしゃがみ、竹千代と目線を合わせる。
「戦のせいで家族と離れたり、人質になったりすることは、なくせるかもしれない」
竹千代はじっと小春を見る。
「小春殿も、その世を望んでおりますか?」
「もちろん」
迷う理由などなかった。
「ずっと続けばいいと思うよ」
竹千代は、手の中のお守りを強く握った。
「では」
小さな声だったが、まっすぐだった。
「私は、その世を守ります」
小春は目を見開いた。
七歳の少年が言うには、大きすぎる言葉だった。それでも不思議と、冗談には聞こえなかった。
「うん」
小春は笑う。
「頑張ってね」
「はい!」
日吉丸も小春を見る。
「小春」
「なに?」
「わしが侍になったら、手伝ってくれんか?」
「私が?」
「うん。小春が言うと、不思議と本当にできそうな気がするんさ」
決意に満ちた日吉丸の顔を見て、小春は笑った。
「いいよ。その時は手伝う」
「約束じゃぞ!」
「うん。約束」
「竹千代には守りを渡し、日吉丸には約束か」
ぼそりと信長が言った。
小春が振り返る。
「なに?」
「俺には何もなしか」
「え」
「欲張りだな、お前」
春一が呆れたように言う。
「何が欲しいんだよ」
「春一には聞いておらぬ」
「じゃあ黙って拗ねてろ」
「誰が拗ねておる!」
「どう見ても拗ねてるでしょ」
小春まで笑う。
信長が二人を睨んだ。
春一はしばらくそんな信長を見ていたが、やがて小さく息を吐く。
「……じゃあ」
「何ぞ」
「俺が聞いてやるよ」
信長が目を細める。
「何を」
「願い」
今度は信長が黙った。
小春も目を丸くする。
「願い?」
「三つくらいなら」
「三つも!?」
小春が声を上げた。
「兄ちゃん太っ腹!」
「お前が何でもかんでも引き受けそうだからだよ」
「そんなことないし」
「ある」
春一は信長を見る。
「ただし、俺にできることだけだからな」
「…………」
「人を殺せとか、俺が死ねとか、そういうのはなし。無茶なのも却下」
「注文の多い奴よ」
「願い聞いてやる側だからな」
信長はしばらく春一を見つめ、それからわずかに口元を上げた。
「三つ……」
「少ないか?」
「いや」
信長は笑った。
「三つで十分ぞ」
その笑顔は、どこか年相応に見えた。
春一はほんの少しだけ目を細める。
「じゃあ約束な」
「忘れるなよ」
「お前もな」
小春は二人を交互に見て、ふっと笑った。
「なんか、みんな約束できたね」
「約束……」
竹千代が呟く。
小春はもう一度、三人の少年を見た。
信長。日吉丸。竹千代。
まだ子どもだ。信長だって春一よりずっと年下で、日吉丸は十三歳。竹千代に至っては七歳しかない。
それなのに、この三人なら本当にとんでもないことをやってのけるのではないか。
そんな気がした。
「なんかさ」
小春が笑う。
「三人なら、本当にできそう」
「何を言うとる」
日吉丸が笑った。
「小春も一緒じゃ!」
「私も?」
「当たり前じゃ!」
竹千代も大きく頷く。
「小春殿も一緒です」
「じゃあ兄ちゃんも」
「なんで俺まで」
「兄ちゃんだけ仲間外れ嫌でしょ?」
「別に嫌じゃない」
「嘘」
「勝手に決めんな」
信長が春一を見る。
「春一」
「何だよ」
「うぬも共に来い」
春一は一瞬、言葉に詰まった。
「……お前まで言うのか」
「三つの願いを聞くのであろう?」
「それをもう使う気か?」
「まだ使わぬ」
「なら関係ないだろ」
日吉丸が声を上げて笑い、小春もつられて笑った。
信長は最後に小春を見る。
「小春」
「なに?」
「うぬも、俺と共に駆けよ」
小春は少しだけ目を見開いた。
夕焼けの中、まだ少年の信長がまっすぐこちらを見ている。
「……うん」
小春は頷いた。
「分かった。その時は付き合うよ」
そして笑う。
「最後まで」
信長が満足そうに目を細めた。
「乱世を打ち破るのは俺よ」
「なら、わしはその先を作る!」
日吉丸が続く。
「私は、その世を守ります」
竹千代が言った。
春一は三人を見回す。
「……とんでもない話してんな、お前ら」
「お兄ちゃんも入ってるからね」
「いつ決まったんだよ」
「今」
「勝手だな」
春一は呆れながらも笑っていた。
「なんか、同盟みたいだね」
小春が言う。
「同盟……」
信長がその言葉を口の中で転がし、不敵に笑った。
「ならば、“泰平同盟”ぞ」
「泰平同盟!」
日吉丸が嬉しそうに繰り返す。
「私も……泰平同盟です」
竹千代も頷いた。
「兄ちゃんもね」
「はいはい」
「返事が軽い」
「こんなでかい同盟、今ここで決めていいのかよ」
「よい」
信長は当然のように答えた。
「俺が決めた」
「出たよ、それ」
春一が笑う。
五人は顔を見合わせた。
乱世を打ち破り、その先の世を作り、そしてそれを守る。あまりにも大きな夢だった。
けれど今は、それでよかった。
「ここ、いい場所だね」
小春が辺りを見回す。
「今日いっぱい約束したし……誓いの丘って感じ」
「安直ぞ」
信長が即座に言う。
「ええ名前じゃ!」
「誓いの丘!」
日吉丸と竹千代が嬉しそうに繰り返す。
「三対一」
小春が得意げに言う。
「俺を数に入れろよ」
「お兄ちゃんは?」
「……まあ、分かりやすくていいんじゃないか」
「四対一!」
「好きにせよ」
信長は呆れたように言ったが、否定はしなかった。
やがて、夕日が地平線へ近づき始める。
「戻るぞ」
信長が言った。
「もう?」
「暗くなる」
「はーい」
小春は名残惜しそうに、もう一度景色を振り返った。
竹千代はお守りを大切そうに握っている。日吉丸はまだ遠江の方角を探していた。
「明日はほんとに行くんだよね?」
「もちろんじゃ!」
「何回目だ、その台詞」
春一が笑う。
「明日は行く!」
「じゃあ今日はまた寺だね」
「飯は?」
「まだ言うか」
信長の声が飛び、 五人は笑いながら、来た道を戻り始めた。
空は少しずつ赤から紫へ変わっていく。丘を下る道は、登ってきた時よりも暗く見えた。
その時、小春がふと空を見上げた。
「……え?」
足が止まる。
「どうした?」
春一が振り返る。
小春は答えず、空を指さした。
「お兄ちゃん。あれ……」
薄暗くなり始めた空に、虹が浮かんでいた。
雨など降っていない。
それなのに、確かにそこにある。
「……虹?」
春一の表情が変わった。
見覚えがある。
忘れるはずがない。あの日、自分たちがこの時代へ来る直前に見たものと、同じだった。
「お兄ちゃん……」
「……ああ」
二人とも、それ以上は何も言わなかった。
「小春、足元気をつけろよ」
春一が声をかける。
「分かってる」
「昨日もそう言って転んだだろ」
「あれは竹千代とぶつかっただけ!」
「前見てなかったからだろ」
「今日はちゃんと見てるもん」
「そういう奴が一番危ない」
「兄ちゃん心配性――」
言い終わる前だった。
足元の土が、ずるりと滑った。
「……え?」
身体が傾く。
「小春!」
春一が咄嗟に腕を掴んだ。
「兄ちゃん!」
小春の身体が斜面へ引かれる。春一は踏ん張ったが、足元の柔らかい土が崩れた。
「っ……!」
今度は春一の身体まで大きく傾く。
「春一!」
信長が手を伸ばした。
その指先が、春一の腕へ触れそうになる。
けれど、届かなかった。
「わっ……!」
「小春!」
二人の身体が斜面を滑り落ちていく。
草を掴もうとしても、手の中で抜ける。
土が舞う。
枝が折れる。
「春一殿!」
「小春!」
竹千代と日吉丸の声が遠ざかる。
最後に聞こえたのは、
「春一! 小春!」
信長の声だった。
「くそっ!」
信長は斜面を駆け下りた。
「信長様!」
日吉丸も追う。
竹千代も続こうとしたが、信長が振り返る。
「竹千代はそこにおれ!」
「でも、小春殿が!」
「動くな!」
竹千代は足を止め、手の中のお守りを強く握った。
「春一!」
返事はない。
「小春!」
草をかき分ける。
斜面には、二人が滑り落ちた跡が残っていた。折れた枝。削れた土。
確かに、ここを落ちた。
なのに。
「……おらぬ」
信長が呟いた。
「そんなはずないじゃろ」
日吉丸が周囲を見回す。
「さっき、ここへ落ちたんじゃぞ」
「分かっておる!」
信長が声を荒らげた。
「春一!」
返事はない。
「小春!」
何度呼んでも、何度探しても、二人の姿はどこにもなかった。
やがて、竹千代も恐る恐る斜面を下りてきた。
「……小春殿?」
小さな声に、返事はない。
竹千代は半分になった消しゴムを胸元へ抱きしめた。
「どこへ……」
日吉丸が呆然と呟く。
信長は何も言わなかった。ただ、春一と小春がいたはずの場所を睨むように見つめている。
つい先ほどまで、五人で笑っていた。
明日の話をして、この先の世の話までしていた。
なのに。
「……消えた」
信長の声が、静かな斜面に落ちた。
春一と小春は、どこにもいなかった。




