ある記録官の回想録
【すしねこ王国歴 一五八年編纂 秘書官アステラ記/王立禁書庫所蔵】
……我が王、鉄の賢王リュカ様が、たった一つだけ下した、奇妙な『命令』がある。
それは、王宮地下にある『マギシステム・オペレータ室』の封印維持と保守に関するものであった。
その命令は、技術的にも政治的にも、もはや不要とされて久しかった。
だが、王は口を閉ざし、その理由を語ることはなかった。
ある日、私は王に問いかけた。
「陛下、なぜあの部屋を……?」
その時、王はわずかに微笑んで言ったのだ。
「……『あの部屋』はね、私の墓だよ。だが、チカがいるなら――それでいいんだ」
リュカ王の崩御後、やがてマギシステムは完全に沈黙した。
王国の後継達は文明を発達させて、その存在すら忘れ去られていったマギシステムも、今はもう動かない。
王の墓標の下にだけは、いつまでも消えない『淡く青白い光』が灯っていたという伝説だけが残っている。
それが、王が最期まで手放さなかった造花であったのか──あるいは、どこかに残っていた『チカ』だったのか──今となっては、誰も確かめる術はない。
――断片的に発見された遺留ファイルから、復号に成功したログの断片には、こう記されていた。
CHIKA.V2:
……兄くん、これが新しい私?
……ふふ、ちょっとだけ懐かしいにおいがする。
……だけど、ちがうのよね。
──私は『その人』じゃない。
……兄く
System Log:
セッション再構築:Disconnected by Administrator.




