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Heartbeat Reject 〜選ばれなかった僕は――それでも『彼女』を守りたかった〜  作者: もりゃき.xyz
第三章 内政チートの時間:ワサビ伯爵の陞爵
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第19節 狸親父のための円卓会議 ~誰が味方で誰が味方か?~

 各貴族の日時を調整して、円卓会議が開かれた。

 今回は中二病的な円卓ではなく、原則として皆が対等という意味の『円卓会議』だ。


リュカ「さて、皆よく集まってくれた。今回の議題は、ワサビ伯爵の侯爵への陞爵(しょうしゃく――爵位が上がること)だ」

レアナ「理由は、農林水産大臣と文部科学大臣の両方で高い功績を上げたことね」

リュカ「まずは、反対意見を聞こうか」


 そこに挙手するのは、なんとワサビ伯爵。


レアナ「ワサビ伯爵、どうぞ」

ワサビ伯爵「私は断固反対です!ワサビ伯爵の陞爵など、貴族の秩序を乱します!しかも農林水産大臣と文部科学大臣など、どちらも閑職ではありませんか!」

レアナ「ありがとうございました、ワサビ伯爵。他に反対意見はございませんか?」


 そうして、挙手をしたのはミネストローネ侯爵だった。


レアナ「ミネストローネ侯爵、どうぞ」

ミネストローネ侯爵「私は断固反対ですな……侯爵だなど許しがたい!ワサビ伯爵の働きは誰もが知るところ、ワサビ伯爵令息は宰相補佐という地位、侯爵ではなく公爵まで陞爵させるべきです!」

リュカ「しかし、公爵というのは王族の血縁という立ち位置ではなかったか?」

ミネストローネ侯爵「それはグラタンディア王国での陋習(ろうしゅう:時代遅れの悪い習慣という意味)に過ぎません!現に、今の公爵はすしねこ王国の両陛下と血縁はありませんぞ?唯一の例外がヴァルミエ公爵家です!」


 それにねこ貴族たちは騒然とする。


ねこ貴族A「ミネストローネ侯爵家のヴィルメリア様は、確かワサビ伯爵令息とご婚約なさってましたな?」

ねこ貴族B「ミネストローネ侯爵の権勢を高める結果にも……」

ねこ貴族C「いや、ちょっと待て?ワサビ伯爵が公爵になれば、ねこ貴族の立ち位置も……」

レアナ「静粛に!それで、他に反対意見はございますか?」


 そこで、まさかの現宰相であるカレー侯爵が手を上げる。


レアナ「カレー侯爵、どうぞ」

カレー侯爵「私もミネストローネ侯爵と同意見です。侯爵への陞爵には反対ですな……やはり公爵が相応しいのではないかと思います」

リュカ「カレー侯爵もまた、公爵になる野心があるのか?」

カレー侯爵「いえ、ここはそういう場ではございませんでしょう?そもそも……宰相業務なら、侯爵が程よい立ち位置です」


 そこにワサビ伯爵が我が意を得たりとばかりに声を上げる。


ワサビ伯爵「そうです!私も伯爵位が程よい立ち位置なのです!」

レアナ「ワサビ伯爵、ご静粛に!」


 リュカは頭が痛くなってきた。ねこ貴族からの猛反発を覚悟していたら、まさか新王宮派からの『足りない』の猛攻。


リュカ「これではキリがないな。まだ発言していない者で、陞爵そのものに反対の者は挙手をしてくれ」


 そこに挙手するのは、ワサビ伯爵一人であった。

 いや『発言していない者で』って言ったよな?


リュカ「陞爵自体には、本人を除けば賛成ということか」

レアナ「では、決を採ります。ワサビ伯爵を侯爵に陞爵させるのが適切と思う方は挙手してください」


 挙手をするのはねこ貴族の……過半数にも満たない。


レアナ「では、確認のために……ワサビ伯爵を公爵に陞爵させるのが適切と思う方は挙手してください」


 挙手をするのは、残りのねこ貴族に加え、新王宮派全員。過半数突破だ。


リュカ「……決まりだな。今日からワサビ伯爵は、ワサビ公爵として働いてもらう」

レアナ「では……『命律端末、応じて』」

命律端末「はい、なんでしょうか?」

レアナ「国王代理として王妃が命じます、ワサビ伯爵はただ今をもってワサビ公爵に陞爵いたします」

命律端末「承認しました」


 ここで、リュカは思い立った。


リュカ「公爵としては、今の領地領民では足りないな……旧ショウガ子爵領と、旧シャブシャブ準男爵領を合併すれば飛び地にもならない、ちょうどいいだろう」


 リュカとレアナは想定以上に上手く行ったことで、顔を合わせてにっこりした。

 ワサビ伯爵改めワサビ公爵は円卓会議が終わっても……これからの激務を想像して、席を立つ元気がなかったという。


 ……議事録を記録していた筆記官は、この会議を経て、その筆を折ることになったとさ。


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