第12節 教員候補のねこ貴族選別試験 ~人格的に駄目ならお断り~
マルボロの案である『ねこ貴族』を教員にすることにしたリュカとレアナ。
初等学校、高等学校、医療学校を統括する教員連盟のトップには、かつてマルボロが取り込んだ、カツドン伯爵を据えることになった。
しかし、肝心の『ねこ貴族』は……ある意味で予想通りの反発をしてきた。
「貴族だけが学問を修めればよい!」
「読み書き計算の教育方法など、改めて学ぶまでもない!」
「平民に学問を修めさせて、社会に混乱を招くつもりですか!」
それに対しレアナは正面から挑む。
レアナ「百歩譲って、貴族だけに教育するにしても……あなた方にその能力が、あるのかしらね?」
当然いきり立つ『ねこ貴族』達だった。
「当然ですぞ、うちの子女達には立派な教育を施せています!」
「今まで賢王、賢妃と名高かったですが、どうやら見方を変えなければならないようですな!」
「なぜ貴族の我々が、平民のために働かなければならないのですか!」
リュカはキレそうになる気持ちを抑えて、笑顔で応える。
リュカ「その為に、我々の教育論について試験を受けて頂くことにしました。初等教育での教育論から、医療教育での実践的な内容まで包括した力作の試験です。当然、たった今何かを言った皆さんは合格ラインを突破できるのでしょうね?」
『ねこ貴族』は侮辱されたと思い、売り言葉に買い言葉で試験を受けることを承諾する。
そして、二泊三日もの連続試験の結果……。
レアナ「あらあら、初等教育教育論の初歩的内容でも誤ってる方が多数……当然、このような方は足切り失格ですわね」
リュカ「カツドン伯爵も、別室で真摯にこの試験を受けてくれたが……初等教育教育論では合格ラインに達していました」
レアナ「足切りでない貴族の方々も、高等教育内容で失格点。医療教育内容では、点数を取れた方すら極めて僅か、全員失格です」
リュカ「最高獲得点である、カツドン伯爵でさえ失格だからな……我々から見たら『教育能力がある』だなんて、噴飯物なんですよ」
レアナ「それでも、不満がある方は今すぐここから立ち去ってくださいな」
数人の貴族が、怒りに駆られて退室する。
リュカ「ここに残った皆さんは、考えを改めたと認識してもよろしいですね?」
レアナ「当然ですが、たった今職務放棄をした貴族の方々は……神殿追放ですわね」
リュカ「言うまでもないが、今後も職務放棄をしてみろ?神殿追放になるぞ」
マルボロ「神殿追放の貴族の『猫加護』はいかがいたしましょう?」
リュカ「『ねこあげ』の提供停止、神殿からの追放、こんな悪名の中で……貴族として、生き延びられるのかね」
マルボロ「『ねこあげ』の提供停止承りました、また『ねこ貴族』を名乗る事も禁じましょう」
震え上がる『ねこ貴族』達……これでリュカとレアナが「ただの賢王と賢妃」ではないと、認識を改めた。
そんな中、一人の貴族が震えながら声を上げる。
「いくら王と王妃といえど、神殿追放はやり過ぎです……!」
リュカ「俺の義姉が大神官、兄が大神官補佐……話はとっくに通してある。あんまり……王族を舐めるなよ?なあ、レアナよ、この程度も分からないのに……教員としてやっていけるか?」
レアナ「無理ね『国家反逆罪』は重すぎるので、出て行った職務放棄者と同じ扱いでいいでしょ」
チカ「兄くん、『ねこ貴族』という称号は、職務放棄者などから剥奪したよ。また『猫加護』も同時に外しておいた。当然、職務放棄のため社会的有害性フラグも立ったな」
声を上げた貴族が慌てて確認する。
「な、命律端末起動しろ!俺は『ねこ貴族』だよな?」
命律端末「過去『ねこ貴族』であった記録は残っていますが、現在は『ねこ貴族』ではありません」
くずおれる貴族だったが、もはや関わる事自体が危険だと察した貴族達は、いない者として振る舞った。
その命律端末の画面は、赤色に点滅していた。
その頃のロランティーナ達はというと……。
ロランティーナ「あの可愛いリュカのやることを否定する愚物なんて、神殿にはいらないにゃ」
オリビア「リュカにゃんの助けになったかにゃ……」
ロランティーナ「ええ、大丈夫にゃ。オリビアはリュカの助けになったにゃ」
完全に、リュカ独裁体制が完成していたのだった。




