第25節 納豆巻き祭りとグラタンディア王国 ~王位は美味しいかにゃ?~
マルボロが神殿から帰ってきた。
オリビア大神官とロランティーナ補佐官体制で、『ねこ貴族』をなんとか上手く制御しているらしい。
また、煙草の施策について聞いたらしく、マルボロもまた深く頭を下げてきたのだった。
マルボロ「我らが領地をお救いくださり、ありがとうございますにゃ」
リュカ「いやいや、俺も煙草好きじゃなかったにゃ」
レアナ「私はハッキリ言うわよ、煙草の煙は嫌いにゃ!」
マルボロ「はは……ここまで骨を砕いてくださり、本当にありがとうございましたにゃ」
そうして、納豆巻き祭りが始まった。
当然ながらネバリオ王もやってきた……ナットウ男爵の服装だ。
リュカ「お疲れ様ですにゃ、ナットウ男爵」
レアナ「ナットウ男爵は、銀行の件で飛び回っていたにゃ?」
ナットウ男爵「そうにゃ……なんとか、この納豆巻き祭りまでには終わらせたかったにゃ」
どれだけ納豆巻きが好きなんだ。
ネバリオ王として毎食三十食食べてるだろうに……とリュカは思った。
レアナ「もしかして煙草問題と銀行を絡めた方がよかったにゃ?」
リュカ「それはちょっと影響が大きすぎるにゃ……あれでいいと思うにゃ」
ナットウ男爵「しかし喫煙許可カードに、新規発行無しでゆくゆくは煙草撲滅、ネバリオ陛下も……その手腕に真っ青じゃないかにゃ?」
レアナ「さあにゃあ……?」
ナットウ男爵=ネバリオ王の自虐にも、軽やかに応じるレアナだった。
リュカ「ところで銀行に話を戻すにゃ。国外展開はしないのかにゃ?」
レアナ「どうしてにゃ?」
リュカ「そろそろグラタンディア王国の中央周辺で起こってた大きな問題も、解決の目処がつき始めたにゃ?」
レアナ「そうにゃ、私は美味しい物が食べられればいいにゃ!」
リュカ「俺も美味しい物を食べたいにゃ!そのための国外じゃないかにゃ!」
ナットウ男爵「そうかにゃ……ついに国外に出てしまうかにゃ……地方にはまだまだ色々な場所があるのににゃあ」
ナットウ男爵はいつも通り、大量の納豆巻きを食べている。まあ、納豆巻き祭りだからな……?
レアナ「外交官とか、そんな立ち位置にしてくれると嬉しいにゃ」
リュカ「もちろん、グラタンディア王国から離れるという話ではないにゃ」
ナットウ男爵「……わかったにゃ、そのように手配しておくにゃ」
ナットウ男爵=ネバリオ王は、一見すると寂しそうなのだが、見る人が見れば『何かを企んでいる』ことが明らかだった。
レアナ「だけど、グラタンディア王国の貴族関係は、混沌としてるにゃ」
リュカ「そうだにゃ……オリビア兄嫁をトップに据えて、神殿派はワサビ伯爵が操縦、そのワサビ伯爵は王宮派ナンバーツー」
レアナ「あと、忘れちゃいけにゃいのは、ネバリオ王に王妃がいないことにゃ……」
リュカ「結局、王宮派って何にゃ?」
ナットウ男爵=ネバリオ王は、堂々と答える。
ナットウ男爵「王宮派は反神殿派として貼られたレッテルにゃ、本質は聖人聖女解放にゃ!」
リュカ「それで、聖人聖女解放派には何のメリットがあるにゃ?王宮派というレッテルも無根拠じゃない気がするにゃ」
レアナ「ふふ、リュカと私で王家に入れって話だったりするかもにゃ」
レアナの軽口に、ナットウ男爵=ネバリオ王は顔を瞬時に土気色にして言う。
ナットウ男爵「にゃ……なぜグラタンディア王国の……秘中の秘が漏れているにゃ!」
レアナ「にゃ!まさか私を王妃に迎え入れるつもりにゃ⁉」
ナットウ男爵「落ち着くにゃ!その時に、隣にいるのはリュカ様にゃ!」
レアナ「にゃら、いいのにゃ」
レアナは王妃になることを受け入れたようだが、リュカはそうもいかない。
リュカ「まさかの、ここでグラタンディア王国の王になるフラグにゃ!」
ナットウ男爵「ちょうどいいにゃ、王になれば外国に行く名目も作れるにゃ!」
リュカ「待つにゃ!それって絶対!自由がない奴にゃ!」
土気色の顔色はどこにいったというくらいに、立ち直ってるナットウ男爵=ネバリオ王。
レアナ「かつて聖女が受けた扱いを受けるといいにゃ……ふふふにゃ……」
リュカ「レアナも怖いにゃ……自由は選ぶ檻のはずにゃ……」
レアナ「ふふ、王様は外泊禁止にゃ」
リュカ「自由を求めた結果、王様になるとか意味がわからないにゃ!」
納豆巻き祭りは、そのまま王位継承祭りとなったのだった。
それからは長い長い、ワサビ伯爵領での結婚式の準備が待っているのであった……。




