表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
54/94

第21節 銀行について考えましょう ~新しい事って設計が難しいよね~

 カレー侯爵の言葉を受けて、リュカが答える。


リュカ「細かい話は省くけれど……例えばカレー侯爵領とワサビ伯爵領に銀行があったとする」

レアナ「この二領には、本当に欲しいわね……当然、銀行はグルメロード全体、王宮派の領地全てに欲しいんだけど」

リュカ「で、銀行というのは……たとえばカレー侯爵領の銀行で、俺が金貨を預けて『証書』と交換する。そしてワサビ伯爵領の銀行で、その『証書』を出せば預けたのと同じ量の金貨が手元に戻る。最低限これを押さえておけば大丈夫だ」

レアナ「細かい話は色々詰める必要がありそうね」


 そこにチカのホログラムが現れた……幼女姿より少し大人びた印象がある、髪の毛も伸びている。


チカ「兄くんの説明は、原始的な銀行だな?」

リュカ「まあ、最初はこれ位の説明でいいかなと」

チカ「兄くんの説明を補足すると、やがて『証書』そのものが価値を持つようになる。大量の金貨の代わりに『証書』で取引ができるようになるな」

レアナ「いつでも『証書』があれば、金貨と交換できるという『信用』が生まれるからね」


 円卓会議の中心は、既にワサビ伯爵の話ではなく、銀行という概念に移っていた。

 ネバリオ王もカレー侯爵も、必死に話に付いてこようとしている。


レアナ「この世界は金貨、銀貨、銅貨が貨幣だから……金本位制よね」

チカ「その通りだな。いずれ金貨の絶対量が足りなくなったときは『証書』があれば交換できるという『信用』の体制に移るが、素直に待っていたら遥か未来になるだろうし、今はいいだろう」

リュカ「銀行は『証書』を発行する権限を持っているから、実際の保有金貨量以上の交換証書を発行することすらできる……んだったよな」

レアナ「そうして、銀行は投資をして、更に金貨自体を増やして辻褄を合わせるのよね……ところで利息の話はいいかしら」

チカ「利息の話については、ひとまず銀行が軌道に乗ってからでいいだろう。愛しているよ、兄くん」


 そうしてチカのホログラムは姿を消した。


 ネバリオ王は深刻な顔をして考え始めた……。


ネバリオ王「あまりに驚きの話ではあった……だが聖人様と聖女様、そしてマギ様まで肯定している以上、これは未来予知レベルの話であろう……」

カレー侯爵「そうですな……ただ問題となるのは、この銀行での金貨移動では?」

ネバリオ王「そこよな……預ける場所、引き出す場所が偏ると、金貨を引き出せないという事態が起こりかねん……」


 リュカとレアナはこの言葉を受けて、即座に銀行案を引っ込めようとする。


リュカ「やっぱ銀行は難しいか……じゃあ忘れて!」

レアナ「そうよね、私たちの言ってるのって口学問だし……」

ネバリオ王「否!これほどの話を聞かされて、銀行を作らないなどあり得ない!」

カレー侯爵「ただ、やっぱり金貨との交換というのが……銀行は、少なくとも始めは赤字になりますよね?」


 リュカは、納得したように答える。


リュカ「どんな複雑な話かと思えば、なんだそんなことですか。手数料を取ればいいんです、なんで無償にする必要があるんですか」

レアナ「そうね、大金を預ける以上……その管理や護衛だって、結構なコストが掛かるんだし」

カレー侯爵「すなわち、これは国家事業というより……商売なのか?」

リュカ「ゆくゆくは国家事業にした方がいいでしょうね、信用の面でも。ですが、銀行の赤字を避けるためなら、国営でも、手数料を取るのは最低限必須でしょう」

レアナ「利便性の対価として、銀行という商売……あんまり聖女っぽくないかしら?」


 ネバリオ王もカレー侯爵も、そしてワサビ伯爵もマルボロも頭から湯気が出そうな勢いだ……。


リュカ「皆さんも、新しい概念に触れてお疲れでしょうから、一旦休憩にしませんか?」

ネバリオ王「そうだな……おーい、全員分のグラタンを用意してくれ、私にはいつもの納豆巻きもだ!」


 こうして食事休憩に入る円卓会議だった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
「小説家になろう」のアカウントでお読みでしたら、感想や評価をいただけると励みになります。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ