表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
48/94

第15節 ナットウ男爵の実際 ~裏公爵どころじゃない!~

 馬車の中で、ナットウ男爵は唐突に語り始めた。


ナットウ男爵「実は、わしは男爵ではないのだ……」

ロランティーナ「いえ、それは見ていれば分かりますが……裏の公爵だと、可愛いリュカから聞いておりますわ」

ナットウ男爵「いや、それすらも世を欺くための情報操作なのだ……」

ロランティーナ「これ以上は聞かなかったことにいたしましょう」


 ロランティーナの声は、未だに冷たいままだ。


ナットウ男爵「駄目だ、ここまで話がこじれた以上、せめて聞いてほしい。私は王……『ネバリオ・グラタンディア七世──グラタンディア王家最後の血統にして、発酵の理を継ぐ者』だ、男爵も裏の公爵も、世を欺く身分なのだ……」

オリビア「王様より、煮干しの粉末入りミルクが欲しいにゃ」

ロランティーナ「そうね、もう少し待ってちょうだい……オリビア」


 カレー侯爵は、オリビアの反応に驚愕を隠せない。


カレー侯爵「な……ネバリオ陛下の名乗りが、こんなにも軽く流されるとは……」

ネバリオ王「いいのだ、我々は……それだけの事をしてしまったのだ」

ロランティーナ「で、陛下がわざわざ我々に会いに来た……ということですか?」

ネバリオ王「その通り、やっと腐敗した神殿を叩き潰すことができたが……それでも中立派、いや正確に言おう。神殿派は、未だ相当数にのぼる」

ロランティーナ「まあ、うちの愚物もその神殿派でしたからね、おおよそ承知しておりますわ」


 途方もない国家機密級の話をしながら、馬車はヴァルミエ伯爵邸にたどり着いた。


ロランティーナ「さあ、オリビア、我が家にゃ!煮干しの粉末入りミルクが待ってるにゃ!」

オリビア「やったにゃー!」

ネバリオ王「にゃ……私の名乗りはそんなに弱かったかにゃ?」


 ネバリオ王は、しょんぼりしながらカレー侯爵に問いかける。


カレー侯爵「そんなことはないですにゃ。ただ、彼らは若干強めに癖がある、それだけですにゃ」

ネバリオ王「若干強めにって、意味が分からないにゃ」


 出迎えにきたリュカとレアナがやってくる。


リュカ「あれ、ナットウ男爵にゃ?」

レアナ「確かロランティーナ様たちは、どこかに借金返済に行ったはずにゃ?」

ネバリオ王「ロランティーナ様には私の身分は明かしたからにゃ。これ以上は、お二人に隠す意味がないにゃ。私がネバリオ王にゃ」

カレー侯爵「私が保証するにゃ」

リュカ「聞きたくなかったにゃー!カレー侯爵の『猫加護』モードにゃ!」

レアナ「それより、ネバリオ王にゃ!」

リュカ「そうにゃ!ネバリオ王って言ったら『賢王ネバリオ・グラタンディア七世』にゃ⁉」

レアナ「そうにゃのよ……ナットウ男爵が、発酵食品ならなんでも任せとけと言った時……気づくべきだったにゃ」


 リュカは驚き、それと対称的にレアナは悔しそうにする。


リュカ「ところで、借金の返済先ってナットウ男爵だったにゃ?」

ネバリオ王「気にすることはないにゃ、ロランティーナの覚悟を知りたかっただけにゃ、一文も取る気はないにゃ」

カレー侯爵「しまったにゃ!馬車から金貨を下ろして、邸宅に置きっぱなしにゃ!」


 カレー侯爵は顔面蒼白にして叫ぶ。


ネバリオ王「大丈夫にゃ。影に補填分を持って来させているにゃ!ハラヘリスの功績を考えれば安いものにゃ!」

カレー侯爵「そうですかにゃ……陛下がそう仰るのにゃら……」

リュカ「まあ、こんな所で立ち話もにゃんですからにゃ……」


 そうして、ネバリオ王とカレー侯爵はヴァルミエ伯爵邸に入っていく。


ネバリオ王「なんだにゃ、素晴らしい匂いがするにゃ!」

カレー侯爵「『ねこまんま』の匂いと、ミルクの匂いが混じってるにゃ」

ロランティーナ「あら、ネバリオ陛下も『ねこまんま』を食べますかにゃ?」

ネバリオ王「わしは天下の納豆好きだにゃ!だけど……なんだか、この『ねこまんま』には抗えないにゃ!」


 カレー侯爵はネバリオ王の言葉に一番驚いた。


カレー侯爵「よくそれで、ワサビ子爵領でやっていけたにゃ……」

リュカ「にゃー!『ねこまんま』をありったけ用意するにゃ!」

レアナ「私も、もう『ねこまんま』の匂いに!耐えられないにゃ!」

ネバリオ王「わしも、今日だけは『ねこまんま』に屈するにゃ!」

カレー侯爵「よかったにゃ……これでわしも、我慢する必要がないにゃー!」


 そうして、鍋に大量の『ねこまんま』が用意された……。


リュカ「『ねこまんま』!いただきにゃー」

レアナ「ずるいわよ!いただきにゃー」

ネバリオ王「あれで、いいのかにゃ?」

カレー侯爵「あれが、真の『猫加護』支配下の常識にゃ……これから覚悟するにゃ」


 そこに、ネバリオ王の影から……こっそりと納豆がネバリオ王に捧げられた。


ネバリオ王「にゃ⁉味付けがない納豆など……邪道だと思ってたにゃ!だけど、これは行けそうな気がするにゃ」

カレー侯爵「陛下、いけませんにゃ!気がするだけじゃ駄目にゃ!」

ネバリオ王「なんじゃこの納豆……ほのかにミルクが混ぜられてるにゃ……なんと美味なのにゃ……にゃっとうまんま」

カレー侯爵「わしも……耐えられなくなってきたにゃ……」


 そうして、カレー侯爵もミルク入り納豆の餌食になるのだった。

 当然、その夜は一晩皆で毛を繕い合った……にゃ

 ただ、オリビア兄嫁だけは、やはりロランティーナにしか毛を繕わせなかったにゃ……。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
「小説家になろう」のアカウントでお読みでしたら、感想や評価をいただけると励みになります。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ