第25節 ラーメン伯爵の想い ~本当に悪人なのか?~
予告なく一日お休みしてしまい、申し訳ありませんでした。
翌日、孤児院巡りから馬車に戻ったリュカとレアナは、同時にため息をついた。
レアナ「あのさ。こんな外交問題って私たちじゃなくて、王家が動く案件よね」
リュカ「俺もそう思う」
レアナ「王家への繋がりと言っても、ナットウ男爵の立ち位置がねぇ。これがいまいちわからないから、どこまでアテにしていいのかわからないわね」
リュカとレアナは、もういちどため息をつく。
リュカ「まあ、数日間様子を見よう。なんかラーメン伯爵が、ただの悪人とは思えなくなってきた」
レアナ「でもさ、少なくともオデン子爵が動く程度には……悪辣だったんでしょ?」
リュカは、少し投げやりに答える。
リュカ「悪辣の基準も人それぞれだからなぁ?あくまで俺の感想だが、どうにも色々不自然だ」
レアナ「そうね、すごい不幸な事故が連鎖した……そんな印象しか受けないわ」
リュカ「ま、こんな状況で考えてもろくな案は出ない!ナットウ男爵の報告待ちだな」
レアナ「そうね、一両日中なら、致命的な問題は起こらないでしょうし」
この言葉に、想像以上の激しい反応をしたリュカ。
リュカ「おい、レアナはフラグクラフターなのか⁉」
レアナ「突然なによ、大声だしたりして」
リュカ「いいか、フラグってのは『問題は起こらないでしょ』なんて言った途端に、起こる未来が待っているんだ!」
レアナ「リュカ、ゲームのやり過ぎでしょ?それともマンガ?ラノベ?」
リュカ「いいかレアナ、日本には言霊信仰というのがあってだな……」
レアナ「はいはい、オタクの理屈づけはどうでもいいのよ」
そこに、ナットウ男爵の影が一人、やってきた。
ナットウ男爵の影「お待たせしました、小麦に関する各領地の状況です……衝撃的な内容でした!」
レアナ「一両日中って言ってなかった?」
ナットウ男爵の影「はい、一両日中には『必ず』と申し上げたと、そう聞いております。遅くなって申し訳ございませんでした!」
リュカ「いや、一両日中って言ったら期限は普通明日だろう⁉」
ナットウ男爵の影は、泣き出しかねないような声で応じる。
ナットウ男爵の影「どうやら、認識に齟齬がございましたね。ナットウ様の影は発言した当日を含めての一両日中とするのが習わしです。昨日の指示でしたので、我々としては、こんなに遅れてしまったのが、悔しくて悔しくて……」
レアナ「そんなの、初めて聞いたわよ⁉」
リュカ「まあ、とりあえずこの報告書を読もう。ってか、凄まじいボリュームじゃないか?」
そして、分厚い報告書をリュカとレアナは分担して精査する。
レアナ「ねえ、オデン子爵が小麦を相当量買ってるわよ?」
リュカ「俺が見た範囲でも、そうなってるな」
レアナ「これ、オデン子爵はラーメン伯爵を監視・攪乱してたんじゃなくて、救うために奔走してたんじゃないの?」
リュカ「その可能性が高いな。なあ、これナットウ男爵は知っているのか?オデン子爵、もしかして一人で全部背負ってたのか?」
リュカとレアナはナットウ男爵の影を見るが、影も困惑した様子だ。
ナットウ男爵の影「オデン子爵はラーメン伯爵を翻弄し、悪事を働けないよう牽制している……それだけが、我々の持っていた情報です」
レアナ「ラーメン伯爵を悪者に見せるような報告も、わざとだった可能性すらあるわよ」
リュカ「これは『善意の諜報戦』だな?」
レアナ「この報告書、すぐさまナットウ男爵に持って行って!最優先で!多分、それで分かってもらえるから!」
ナットウ男爵の影「かしこまりました!」
報告書を手にした影は、すぐさま姿を消した。




