表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
77/133

進化系すべり台、やっぱりこうなった

さて、二日後の朝である。

本日は晴天だ。冬のキンと冷えた空気は、呼吸する度に鼻をツンとさせる。

広場には村人達が総力を挙げて作り上げた、雪の巨大ジェットコースターが出現していた。


「 何というか…予想はしてたけどすごいねコレ 」


完成した後は、雪に埋まらないように美波が即席の透明ドームで覆っていたので、表面はピカピカのツルツルだ。

遊ぶ時はドームを消して、一冬ずっと遊び倒す計画である。


「 すごいだろ美波。俺達の血と汗と涙の結晶だ 」


物凄く得意気にユーリが言う。隣には村の若者達が一列になっていて、ライさんやイツキさんも混ざっている。


「 うん。すごいんだけどね、コレ大丈夫なの?

あの辺のカーブとかとんでもない角度なんだけど 」


そうなのだ、辛うじて一回転することはないようだが、高いところから滑り降りるだけというすべり台の定義を無視して、急降下からの急上昇を取り入れたジェットコースター仕様になっているのだ。


「 問題ないぞ、美波。この私がしっかり計算して作ったんだ。コースから飛び出す事も、途中で止まる事も絶対にない。

完璧な仕上がりだ 」


ルリさん?一体何があったんですか?

率先して協力しちゃってるんですか?

聞きたい事は山程あるのだが、ルリさんは凄く良い笑顔だ。


「 ユーリ達にジェットコースターの話を聞いたんだ、重力とか慣性の法則だったか?

とても興味深い 。私なりに考察してコースを考えたんだ 」


これも元凶は美波のようだ。

全てはあの一言から始まったのだ。


「 そうなんですね…良いんですよ、ケガさえなければ 」


ケガなんかする訳ないだろ!という、恒例の突っ込みを受けて軽く落ち込んだところで、記念すべき一人目が階段を上がっていく。

公平にジャンケンで決めたそうで、こういう時は絶対に負けないライさんである。


「 行くぞ!見てろよカケル、ハヤテ!

父さんの勇姿を! 」


いやいや、何だよ勇姿って…一人突っ込む美波である。

高さ七メートルはあるだろう頂上にソリをセットして乗り込み、ライさんが滑り降りてくる。


まずは急降下、そして急上昇からの右カーブ。

雪山の後ろを回り込んで前面に出てくると、左右に蛇行しつつスピードを保ったまま飛んだ!

大事なことだから二度言おう。

飛んだのだ。そして少し先の雪だまりに着地した。


「 やったぞ!どうだ!」


うおーっ!凄いぞライ!さすがだライ!

物凄く盛り上がっているが、いいのかこれで…

最後飛んでるし、雪まみれだし。


「 凄いわね!すっごく楽しそう。本当にやらないの?」



滅多に見ないハイテンションのミチルに肩を叩かれて、呆れているのは自分だけだと気づく。

大人達はもれなく全員、子供達もまだ小さいハクとユキちゃん以外は皆やる気である。

長蛇の列ができている……


「 うん。大丈夫かな…行っておいでよ、ミチル 」



そんな会話をしている間にも、また一人飛んでいく。ケガはしないと分かっていても、すごい光景だ。


「 ハク、ユキちゃん、あっちで遊ぼうか 」


美波は今日も子供用コースて二人と遊ぶ事にする。


「 ねぇ、お姉ちゃん。僕たちも大きくなったらアレできる?」


しっぽをフリフリ上目遣いに見上げてくるハクも、もうすぐあちら側の狼になってしまうらしい…


「 そうだね、大きくなったら出来るよ。

というか、ハクが大きくなる頃にはアレも更にパワーアップしてる気がするよ…… 」


そうなの?わぁい!と無邪気にはしゃぐ二人と手をつなぎ、今のこの瞬間を大事にしようと決心する。小さいうちだけだ、付き合ってくれるのは…


すっかり人気を奪われた雪のすべり台一号で、美波はハクとユキちゃんと三人で遊ぶ。

しかし五回目くらいで膝が笑いだした。

五メートルの高さまで階段を上り、ソリで滑り降りてを繰り返すのだ。

結構ハードな遊びである……


「 お姉ちゃん、大丈夫?ちょっと休む?」


「 ごめんね、いつも先にバテちゃって… 」


「 いいの、お姉ちゃん。人間と獣人は体のつくりが違うから優しくしてあげなさいって、いつもパパとママも言ってたの 」


ユキちゃんは小さな手で、座り込む美波の頭を撫でてくれる。

ハクも心配そうに背中に抱き付いている。


何て良い子達なんだろう。いつかあちら側に行ってしまうとしても、今日のこの瞬間を忘れまい!

健気な二人の優しさにグッときた美波だが、ふと大きな影が広場に落ちて現実に引き戻された。


上を見上げると、二頭のドラゴンの姿があった。

手紙の返事を出さずに、直接やって来たようだ。

大きな翼を広げたまま、魔法を使っているのだろう、殆ど風圧を感じさせることなく広場の端に着陸した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ