表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
56/133

ユキちゃんとお風呂

「ユキちゃん、お風呂に入ろっか。シャワーだけじゃなくて、お湯に浸かれるんだよ。」


「お風呂?温泉ならママとパパと入ったことあるよ。」


つぶらな瞳で見上げながらユキちゃんが言う。山で暮らしていたらしいから、温泉もあったのだろう。


「残念ながら温泉じゃないんだけど、気持ちいいよ。一緒に入ろ?」


もじもじしながらも頷いてくれたので、一緒にお風呂場へ向かう。すると、家のドアが開いてハクが入ってきた。


「お姉ちゃん、おやつ食べに来たよ!」


試作品の味見を一緒にする事になっていたのだ、色々あってすっかり忘れていた。


「ごめんハク。今からユキちゃんとお風呂に入るから、ミチルと待っててくれる?」


するとハクは美波の腕の中のユキちゃんに気付いたようで、駆け寄ってきた。


「こんにちは、僕ハクっていうの。

狼だよ、五十才。」


ユキちゃんはびっくりしたようだが、同年代のハクに心を許したようで、きちんと自己紹介した。


「あたしはユキ。ウンピョウで五十才なの。

パパとママが死んじゃって、ユーリと一緒に来たの。」


「そうなの?大丈夫だった?ユーリはいたずらばっかりする困った大人なんだよ。」


ユーリはハクにまで残念なエルフとして認識されているらしい。


「うん、大丈夫だよ。あたしの方が迷惑かけてるの。」


腕の中で小さくなってしまったユキちゃんに、そんなことないよと声をかけ、美波はハクに再度大人しく待っているように言った。


「僕も一緒に入っていい?ユキちゃん、アヒルさんで遊ぼう!楽しいんだよ。」



ニコニコしながらしっぽを振るハクに、ユキちゃんは暫し考えて小さく頷いた。

ハクがいてくれた方が、気がたまぎれるかもしれない。


「じゃあ、三人で入ろっか。ミチル悪いんだけど少し待っててくれるかな。あと、お風呂上がりのハクの世話、お願いしていい?」


もちろんよ。というミチルに感謝しつつ、子供二人とお風呂場に入った。


「ユキちゃん、そのまま入るの?じゃあ、僕も狼になろうかな。お姉ちゃんいい?」


子狼とウンピョウの子と一緒にお風呂……

パラダイスかも、いつ死んでもいいです!

一瞬別の世界に旅立ちそうになりつつ、かろうじて理性を取り戻す。


「いいよ。じゃあ二人で先に入ってて、お湯溜めるから。」


一人ずつ湯船に入れて、お湯を出す。

美波が服を脱いで入る頃には、二人は湯船の底に座り溜まったお湯で遊んでいた。

ハクに一緒に入ってもらって正解だったかもしれない。美波は二人を抱っこして洗い場に下ろし、順番に石鹸で洗っていく。シャワーで泡を流す頃には、いい具合にお湯が溜まっていた。


「泳いでも良いけど気をつけてね。この上なら足がつくからね。」


一人ずつ湯船に入れて、ユキちゃんにはこっそりと例のバリアをはっておく。アヒルさんも投入して、美波も体を洗うことにした。

シャワーを浴びながら、子供達の会話を聞いてみる。


「アヒルさんかわいいでしょ、お姉ちゃんが作ってくれたんだよ。

んー、でもこのままだと遊びにくいね。

噛んだら穴あいちゃうもん、ユキちゃん人型で遊ぼうよ。」


ナイスだハク!ナチュラルに人型への変化を促すハクに、心の中で拍手をおくる。

シャワーの隙間から窺うと、ハクの隣には黄褐色の髪に丸い耳の小さな女の子がいた。


良かった、人型になってくれた!

何気ない風を装って、シャワーを終えた美波は子供達に声をかける。


「お姉ちゃんも入っていいかな?」


湯船に入るとユキちゃんが膝に乗ってきた。人間ならまだ五才、突然お母さんを亡くしてさびしかったのだろう。ギュッと抱き締め頭を撫でて、アヒルさんで遊ぶ二人を見守る。


穏やかで優しいハクはユキちゃんと相性が良かったようで、二人は仲良く遊んでいる。


「お外で入る大きい露天風呂っていうのもあるんだよ。僕は男の子だから男湯に入らないといけなくて、お姉ちゃんと一緒に入れないの。

ユキちゃんは一緒に入れるでしょ、いいなぁ。」


何とも微笑ましい光景だ、夢中で遊ぶ二人にのぼせちゃうからそろそろ上がろうねと告げて、ドアを開けてハクを外に出してミチルを呼ぶ。


「おいで、ハク。外で拭こう。」


ミチルに連れられてハクが脱衣所の外に出たところで、ユキちゃんを連れてお風呂を出る。

大きなタオルで体と髪を拭いてあげて、とりあえずパンツとキャミソールを作って着せてあげる。

ユキちゃんは目をキラキラさせてびっくりしている。美波も手早く着替えて、タオルでくるんだユキちゃんを連れてリビングへ戻った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ