ユキちゃんとおやつ
ハクも下着姿でミチルにドライヤーをかけてもらうところだ。ちなみにこのドライヤーは、ルリさんに説明し魔方陣を書いてもらい、美波の人工魔石を搭載した優れもので、今では一家に一つはある便利グッズだ。
美波の家には発案者特権で二つあるので、ミチルと並んでユキちゃんも乾かす事にする。
「これはドライヤーって言って、暖かい風が髪を乾かしてくれるんだよ。ちょっと音がするけど怖くないからね。」
優しく説明してから、肩まである絹糸のような髪を乾かしていく。子供だからという事もあるだろうが、手触りが物凄く良い。
先程のウンピョウ姿の時もそうだったけれど、地球のウンピョウも同じ感じなら、毛皮を目的に乱獲されるのも無理はない。
イヌイットの人達のように生活のため防寒のためでなく、ファッションとして毛皮を纏う人を心底理解できないと思っている美波には、考えられない事だが。
「乾いたかな。じゃあハク、ロフトに上がって着ぐるみシリーズから何か貸してあげて。
ミチル、頼んでいい?私も髪乾かしちゃうから。」
頷いたミチルはユキちゃんを抱っこして、ハクに続いて階段を上がっていく。
「楽しみだなぁ、ユキちゃん何着てくるかな。」
ドライヤーで髪をかわかしつつニヤニヤする美波の頭の中は、最近ハマっている着ぐるみシリーズで一杯だ。
小さい子に着せると破壊的に可愛いラブリーな着ぐるみだ。お腹のところでとめるデザインのツナギで、白猫・黒猫・うさぎ・熊・羊・小鹿と各種取り揃えている。
最初にジョークでハクに黒猫を着せたら、あまりの可愛さに止まらなくなり、大量に作ってしまったのだ。
ちなみに涙目で拒否されたナギ以外の子供達にも、色々とプレゼントしている。
「お姉ちゃん、僕今日は熊さんだよ。」
駆け寄ってくるハクは茶色の丸い耳つきの熊さんだ。可愛すぎる、何度みてもラブリー!
「可愛い~。ハクは何でも似合っちゃうね!」
抱き上げたハクにスリスリしていると、ユキちゃんがミチルと一緒に降りてきた。
ピンクのうさぎさんです。可愛すぎてヤバイです。
「ユキちゃんも可愛い~!似合ってるよ。」
ミチルの腕の中のユキちゃんをナデナデして言うと、恥ずかしそうに微笑む美少女と目が合った。
くぅ~っ可愛いっ!
「落ち着いて、美波。おやつにしましょう。」
ミチルに言われて我に帰る。
「そ、そうだね。おやつにしよう。
今日は新作だよ!」
ハクとユキちゃんを座らせて、温かいハーブティーと一緒に出したのはとっておきの新作だ。
タルト生地に、野リンゴのコンポートとスイートポテトを混ぜ込んだ物をのせた、秋の味覚のタルト。
それとシンプルなスコーンだ、こちらは生クリームと各種ジャムに、ハチミツも添えてある。
「はい、どうぞ。召し上がれ。」
目をキラキラさせる二人にフォークを渡し、大人二人も試食タイムだ。
「うん、思い通りに出来た。美味しい、ミチルはどう?」
タルトを食べていたミチルは無言で頷き、親指を立てた。美味しいらしい。
ハクとユキちゃんも夢中で食べている。
「スコーンはね、こうして小さくしてジャムと生クリームを付けるんだよ。色んな味を試してね。」
お手本を見せてあげると、二人とも一生懸命に小さな手でスコーンを食べている。
「お姉ちゃん、これとっても美味しい。あたしこんな美味しいお菓子、初めて食べたよ。」
鼻の頭に生クリームを付けてユキちゃんが言えば、ハクもこれ好きっ!と絶賛してくれる。
「良かった~、一杯食べてね。」
いつもなら夕食前なのでセーブするところだか、ハクにつられてユキちゃんが食べているので今日は特別だ。
お腹一杯食べて歯磨きを済ませた二人は、獣型になって眠ってしまった。
起こさないようロフトのベッドに運び、毛布を掛けて下に戻る。
後片付けをしながら、ミチルとひとまず安心だねと目で語り無言で洗い物をする。
獣人の子は耳が良い、不用意にユキちゃんの話をするのは危険だ。片付けを終えると、ミチルがシロガネ様の所へ行くという。
「とりあえず報告してくるわ、今夜は私も一緒の方がいい?」
「うん、お願い。」
よろしくね、とミチルを見送って美波は夕飯の準備に取りかかる事にした。




