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リゾートホテルを作りましょう

忙しかったもので、久しぶりの投稿です。

今回からパソコンでの投稿に切り替えたので、文字を打つのが楽になりました。

もう少し頻繁に投稿できるように頑張ります!

 美波は久しぶりに握るハンドルに緊張していたのは最初だけで、すぐに感覚を取り戻したらしい。

ゴルフカート位の大きさの自動車には屋根も窓もないけれど、バリアのおかげで頬を撫でる風はそよ風レベルでとても快適である。

 街道の雪はすっかり溶けてタイヤをとられることもないし、気温も10度以上はありそうだ。

助手席にいるユーリは出発前からご機嫌で、流れてゆく景色にはしゃいでいる。


 「すごいな!馬がいないのに動くなんて、自分の目で見なかったら信じられないよ。

俺も操縦してみたい!」


 「操縦はダメ!これは私専用だからね。馬に乗れるんだからユーリには必要ないでしょ」


 自動車は一台だけと決めている。

そもそも美波に乗馬をマスターする運動神経が備わっていれば、作っていなかっただろう。


 「えーっ、馬は馬じゃん、ケチ....」


 ケチって。子供か....


 「いい加減にしなさいよユーリ。それ以上わがまま言うなら、自動車から降りて走ってもらうわよ!」


 前を走るミチルが、耳だけを器用にこちらに向けて叫ぶ。

今回は美波とユーリ、ミチルとルリさんとミナトさんでコザクラ町へ向かっているのだ。

 3人は狼型で走っているわけで、ユーリの発言はしっかり耳に届いている。


 「わかったよ、狼と一緒に走るなんて無理に決まってるだろ」


 一瞬、ミチルに追い立てられて必死で走るユーリを想像して悪い笑みを浮かべた美波だったが、実際にやらせるのは気の毒すぎるので許してあげることにする。


 「町に着くまでにユーリも考えてよね、一応エルフなんだから王都のエルフがどんなのが好みかわかるでしょ」


 「一応って、ひどくないか?俺かわいそう」


 いじけるユーリはとりあえず放置しておくことにしよう。

今日は先日のフェラリーデ様の依頼を受けて、ホテルの建設のための訪問である。

美波とルリさんとユーリはホテル担当で、ミチルとミナトさんは自動車の荷台に積んできたウェディングドレスの試作品をもって、町の洋服屋さん達と第1回目の打ち合わせである。


 美波のプランでは、露天風呂と普通のドームハウスを仕上げることができれば上々である。ルリさんが一緒に来ているので魔法陣はその場で書けるし、ドームハウスも最初の一軒を集中して仕上げれば量産するのは簡単だ。

 クッションやベッドなどの内装は、一軒ずつテイストを変えてみるつもりだ。

そうして全てを仕上げてから特別室に取り掛かることになっている。

 全部仕上げるのに何日かかるのか、現時点では予測が立っていない。


 「フェラリーデ様もサポートしてくれるし、何とかなるとは思うけどユーリもちゃんと手伝ってね」


 「わかってるよ、王都からあんまり出ない大人たちをびっくりさせるような物を作ろうな!」


 もう元気になったらしい、こんな性格なら現代日本のブラック企業でも逞しく生きていけるかもしれない。


 「もうすぐ着くぞ!人が増えてくるかもしれないから、気を付けてくれよ美波」


 少しスピードを落として併走しながらミナトさんが言う。

今まではすれ違う馬車がいなかったけれど、初めて自動車を見たらちょっとした騒ぎになりそうだ。


 「はい。充分に注意します、町の中までこのまま行きますか?それとも建設予定地へ行った方がいいでしょうか」


 「建設予定地で良いだろう。そこで着替えてミチルと町へ向かうから、フェラリーデ様には到着を伝えておくよ」


 了解です!と返事をすると、ミナトさんはスピードを上げて自動車を先導してくれた。



 ホテルの建設予定地は町まで徒歩15分くらいの川のそばだった。

コザクラの群生地からは少し距離があり、平らな土地である。


 狼型の3人はすでに着替えを終えて、二人は町へ向かいルリさんは美波たちと残っている。


 「ルリさん、露天風呂はこの辺りで良いでしょうか。川に近い方がいいですよね」


 「そうだな、この辺りにすれば水源にも近いし合理的だろう」


 事前に美波が描いてきたデザイン画を見ながら相談していると、ユーリがのぞき込んできた。


 「ハクロウ村のと同じような感じにするのか?大きくなるだけ?」


 「うん、そのつもりだけど。何?エルフならではの好みとかあるの?」


 まともな理由があると一瞬でも思った美波は、まだユーリのことを理解していなかったようだ。


 「ちがう、ちがう。たださ、前に言ってただろ。あのサウナってやつ、アレが作れないかなぁと思ってさ」


 「あぁ、そういえば前に話したっけ。出来なくはないけど、こっちの人が好きかどうかはわからないよ」


 以前話したのをしっかりとおぼえていたらしい。

珍しいもの好きなエルフにもドラゴンにも受けそうではあるが....


 「美波さん!お待たせしました」


 ルリさんとユーリにも挨拶をしつつ、フェラリーデ様が駆け寄ってきた。


 「おはようございます、今日はよろしくお願いします」


 挨拶もそこそこに、さっそくドームハウスと露天風呂の建設に取り掛かることになった。




 デザイン画をにらみつつ、4人で話し合い作ること数時間.....


 「ふぅ、とりあえずこんな感じでしょうか」


 完成したのは露天風呂と、基本となるドームハウスが一軒だ。


 露天風呂はハクロウ村の約2倍の大きさで、2つの雪だるまのお尻の部分を一直線にくっつけたような形だ。

 頭の部分が男女それぞれの脱衣所で、胴体部分は開閉式の屋根を持つお風呂スペースだ。

お風呂はジャグジーと炭酸泉風風呂、ハーブや柑橘類を利用した変わり種風呂、そしてフェラリーデ様も乗り気だったのでサウナも作ってみた。

 照明にもこだわってみたので、夜になるのが楽しみだ。


 ドームハウスの方は美波の家と同じサイズで、簡易キッチンとトイレを取り付け、収納スペースを控えめにしてリビングスペースを広めにとり、ロフトをベッドルームにしてある。

一階にもベッドを置けば、6人は泊まれそうだ。エルフもドラゴンも従者を連れてくるようなことはなく、自分のことは基本的に自分でできるそうなので、従者の控室などは必要ないらしい。


 「あとは一軒ごとにちょっとずつテイストを変えてみましょう。照明とクッションや家具なんかのデザインを変えれば、だいぶ印象が変わるはずです」


 ベースとなるこの部屋は、フェラリーデ様のリクエストで緑を基調にしたインテリアで統一している。

ドーム本体はすべて白なので、ほかの色がとてもよく映えるのだ。

 今回は机もベッドも全て美波の能力で作ったので、デザインは自由自在だ。

素材は謎の物質だが白くて温かみのある手触りなので、美しい曲線を描いた丸みのあるデザインにしてみた。

照明を鈴蘭のモチーフにしてみたり、シーツや毛布もごく淡い色合いのグリーンで統一している。

思い付きで羽毛布団も作ってみたが、こちらのカバーは森の木々をイメージしてグリーンのグラデーションカラーである。

 もちろん冷蔵庫も忘れずに設置してある。


 「美波、露天風呂の分の魔法陣は完成したぞ。あとはドームハウスの水回りだけだな、午後には仕上がるだろう」


 さすがルリさん、仕事が早い。配管工事はコザクラ町の職人さん達が請け負ってくれるので、魔法陣さえ出来ていればお任せできるのだ。


 「ありがとうございます、皆さん。この部屋も素敵ですね、まるで森の中にいる様です。

他はどうしましょうか、青もいいですし桜色も捨てがたいです」


 「あと九軒ですよね、色とイメージの希望を言っていただければ何でも作りますよ。ユーリも何かある?」


 「そうだな、海をイメージして青い部屋に海の生き物のランプもいいし、子供が好きそうな明るい色の部屋にビーズクッションも可愛い動物型にしてもいいんじゃないか。子連れで来る人もいるだろうし」


 フェラリーデ様が、わが子の成長を喜ぶ父親みたいな目でユーリを見つめている。


 「たまにはいいこと言うね、ユーリ。そのアイデアはいただくわ」


 「大人になったものです....立派になって、ユーリ」


 ユーリは褒められてはいるものの、子ども扱いと普段の行動へのダメ出しとも思える二人の発言にちょっといじけている。


 「さぁ、では町へ戻って昼食にしましょう。ハクロウ村の料理には及ばないかもしれませんが、今日は私がご馳走しますよ」


 ポンポンとユーリの頭を撫でつつ言うフェラリーデ様の言葉に甘えることにして、4人で町へと向かった。

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