初仕事は子守りです 2
「狼になるの?それともこのまま遊ぶ?」
「狼っっ!」
あっという間に、美波は子狼達に囲まれていた。
「よしっ。じゃあ私が投げるから、取ってきてね!
行くよ~!」
ポーンと、力一杯ボールをなげる。
全力で走っていく子狼達、一番手は年長のナギだ。
続けて五つボールを投げる。
戻って来たら一度、みんな大興奮だ。弾むボールが楽しくて仕方ないらしい。
余りの可愛らしさに、美波も夢中になってボールを投げる。しかしながら30分後、普段運動らしい運動をしない25才女子の体力が、異世界の子狼にかなうはずもなく…
「ごめっ。はぁはぁ 、ちょっと休んで良い?」
「お姉さん大丈夫?疲れちゃった?」
子供達に心配されてしまった…情けない。
「大丈夫…ちょっと肩が限界だけど…」
体力勝負の遊びに参加するのは無理があるなと、早々に悟る美波であった。
子供達に人型で出来るキャッチボールを教えて、とりあえずしばらく休ませて貰う事にした。
双子達はそれぞれのペアで、ナギはハクと遊んでくれている。何とも微笑ましい光景である。
サッカーボールとかバレーボールも良いかもと思い、よく子供が遊ぶキラキラでサイズはバレーボール位でちょっと柔らかい、あのボールを作ってみた。これなら全員で遊べるだろう。
子供達を集めて説明し、輪になってバレーボールだ。人間の5才児には無理だろうが、人狼族の運動神経は凄すぎる。
多分、一番下手なのは美波だろう。
そして又しても限界まで遊びに付き合い、一人輪を抜けてへたりこむ。
「大丈夫か私。最後まで付き合う体力があるとは思えない…」
その後ひとしきり遊んだ子供達に、水を飲ませて一休みさせる。
さて、この後はどうしようか。考え込む美波にハクがしがみついてくる。
「お姉ちゃん。違う世界のお話聞かせて!」
その手があった!ナイスハク!と、グリグリハクを撫でて子供達にリクエストを採ることにした。
「向こうの世界がどんな世界か話すのと、向こうの世界の童話と、どっちが良いかな?」
「童話ってなぁに?」
首を傾げる子狼達、何てラブリー!!
「こっちには童話って無いのかな、ナギは知ってる?」
「うんと、一族の成り立ちみたいなのはあるけど、
作り物のお話は大きな街の図書館とかじゃないと読めないと思うよ。僕も読んだ事ないし。」
「そうなんだ。じゃあ私の世界のお話を幾つかしようか。」
広場の隅の大木の木陰に移動し、童話を披露する事にする。子供達に囲まれて、三つ程お話を披露したところで正午の鐘が鳴った。
お昼ご飯の合図だ。
ちなみにこの世界も1日24時間、暦はほぼ同じらしい。




