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ダブルワールド  作者: 東城陽一
第一部 魔法編 1章:学園
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9話:2人の後輩

 二人はその名前を聞き、一瞬フリーズする。


 「マヤセってあのマヤセか?」


 星一はフキに小さな声で耳打ちする。


 「そのマヤセしかいないだろ」


 フキも小声で星一返す。


 「俺はフキ。こっちは星一」


 フキは名乗り、星一も軽く紹介する。


 「フキさんに星一さんですね!」


 「私はフキさんとペアを組むことになっているので、これからよろしくお願いします!」


 星一は、その言葉を聞き、心の底で安堵した。


 「ああ! よろしく!」


 フキは、あのマヤセと組めることが嬉しいのか、楽しそうな表情をしている。


 「私は、星一さんのペアになる子を知っています。ちょっと難しい子なんですが、真剣に向き合ってあげてほしいです」


 「ああ。丁寧に教えるつもりだよ!」


 星一は任せろと言わんばかりに返事する。


 「はい! お願いします!」


 マヤセはそう言って、部屋を退出した。


 「あいつ..….相当強いな...…」


 星一は、ボソッと言葉が漏れる。


 「英雄の孫は伊達じゃないか..….」


 「ああ。ここに来て見た中じゃ間違いなく一番強い。あれ、本気出されたら俺でも正直わからねぇ」


 フキはゴクリと息を飲み込み、無意識に拳を握りしめる。


 「まあでも、俺とペアじゃなくてホッとしたよ」


 星一は、マヤセ以上に目立つ奴は来ないと予想し、心を撫で下ろす。


 そして、コンコンとノック音が鳴り、二人は同時に顔を上げる。


 扉が開くと、そこには少し気の強そうな少女が立っていた。


 燃えるような赤髪を高く結い上げ、堂々とした姿勢で二人を見据えている。


 「...…失礼するわ。今日からあなたと組むことになったの」


 星一は無理やり笑顔を作り、立ち上がる。


 「お、おう!俺は星一。よろしくな! えっと...名前は?」


 少女は星一の前に立ち、まっすぐな視線で答えた。


 「ーーフラン・メルベリア」


 フキはその名を聞いた瞬間、まるで雷に打たれたように硬直する。


 「フラン・メルベリア!?」

 「星一、耳を貸して!」


 星一が身を寄せると、フキは震える声で囁いた。


 「あの子..….この国、メルベリア王国の第二王女だ!」


 星一の脳が一瞬停止する。


 「は.…..?」


 そして、次の瞬間ーー自然と口から言葉が漏れた。


 「嘘やん」


 フランは怪訝そうに眉をひそめる。


 「.…..何か言った?」


 「いやいや! 何でもない!」


 「ど、どうして第二王女が、わざわざこの学園に?」


 フキは、低姿勢で質問する。


 愚問だ。フランは胸を張って堂々と答える。


 「私が誰であろうと関係ないわ。ここでは一人の魔道士として、自分の力を磨くだけよ」


「これは絶対に目立たないわけがない」


 星一は心の中でそう思う。


 フランは星一を鋭い目で見つめる。


 「私は、高みを目指す。足を引っ張ることは許さないわ。覚悟しておきなさい」


 「本当に難しい子かもしれない」


 星一は心の中で呟き、引きつった表情で返す。


 「お、お手柔らかに.…..」


 フランは星一の言葉を聞き、部屋を退室した。


 「お、おい。星一大丈夫か?」


 星一はベットに座り、頭を抱えながら下を向いている。自分の運の良さなのか、悪さなのか、ランダム抽選とは思えない結果に気をもむ。


 だが、すぐに顔を上げ、こう話す。


 「決まったことは仕方ない! この状況を楽しむしかないか」


 星一の覚悟は決まっていた。


 「そうだね! 目立ったからといっても、星一なら上手く立ち回るでしょ」


 星一ならできる。と言う眼差しを向けながらフキは言う。


 「随分人ごとだなぁ〜」


 ベッドに座りながら二人は笑い合った。


 こうして、星一の目立たない計画は、開始早々に音を立てて崩れ去ったのだった。

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