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ダブルワールド  作者: 東城陽一
第一部 魔法編 3章:研究所
53/56

53話:任務完了

 部屋を出たフキは廊下で偶然星一とエレサと出くわす。


 「お前っ! なんでここに?」

 星一は、大人数を両手で担いでいるところに急に部屋からフキが出て来たことに驚く。


 「あぁ。ちょっとな。それよりその人たちが……」


 「うん。連れ出したのはいいけど、これだけの人数どうしたらいいか困ってる」


 星一の隣にいたエレサもそこまで考えていなかったのか、目線を送ると目を細めて顔を逸らしている。


 計画的に動くのか星一だったが、意外と抜けてる一面があるのだと思ってしまった。


 「その人たちはここに置いていこう」

 フキは冷静な面持ちで提案する。


 「なっ!? ここに置いていってどうするんだよ」

 星一はフキの冷徹な提案に驚きつつ、何か考えがあるなではないかと聞き返す。


 「ここに置いておけば、多分、助けてくれると思う」


 「――わかった。お前がそう言うならそうなんだろ」

 星一はそう言って抱えている人たちを壁際はもたれかかるように寝かしていく。


 「いいのですか?」

 エレサは困惑しつつ寝かしていきながら、星一に耳打ちする。


 「フキが言うなら大丈夫だ」

 黙々と星一は無重力にした人たちを寝かしていた。


 その言葉を信じてエレサの表情から迷いが消え、次々と作業を進めて全員を寝かし終える。


 「研究所に戻って怪しいものとかを破壊しにいくぞ」

 実験体にされた人たちを救出し終え、本来の目的である研究所の破壊を目指す。


 「私が前に立ちます!」

 そう言ってエレサは2人の前に立って研究所に走る。


 再び気味が悪い薄緑の研究所に戻ってきた3人はどう破壊するか考えていた。


 「俺の魔術は範囲攻撃が難しいから、2人の魔法を同時に放つのはどうだ?」


 星一は自分の魔術は広い範囲を攻撃できないことから破壊に向かないと考え、2人の魔法を使うようにと提案する。


 「俺もそれがいいと思う」


 「私も賛成です」


 フキとエレサは星一の意見に賛成して魔力を練り始める。


 二人は両手を前に出して魔力を集め、一直線に放出し、途中で風と雷が融合してとてつもない威力となった。


 今いる部屋は風圧と電圧により、周辺機器は破損する。


 魔法自体は部屋のドアを突き破って真っ直ぐに進みながら周囲を吹き飛ばしていく。


 そして壁にぶつかったところで大爆発を起こした。


 「は、はは」

 予想以上の威力を目の前に星一は反応に困ってしまった。


 「これくらいでいいんじゃないか」

 フキは体を前に向けながら横目で星一に言う。


 「本懐とまではいかないですが、多分今ので半壊くらいはしてると思います」

 太もも辺りについた埃を右手払いながらエレサもそう言った。


 「そうだな。この奥は響さんたちがやってくれるだろう」

 奥にいる響たちを信じて王城の出口から外へ出るために3人は歩き出す。


 3人が歩き出したその時――周辺の機器たちが崩れ落ちて底が落ちる。


 そしてそこには巨大な飛行船のような物体が二つあった。


 その姿は黒く、小さいが人数人が乗るには十分だ。


 「これは……」

 覗き込んだ星一はもしかしたら、これを使えば———と思ってしまう。


 「早くいきますよ!」

 なかなか来ない星一をエレサは呼ぶ。エレサとフキは脱出のためもう既に先に進んでいた。


 「ああ」

 そう言って煮え切らない気持ちで出口に進むのだった。


          ◇


 「全員外に出したぞ!!」

 センリは実験体にされた人たちをエリュシオンへ全員出し、研究所に残っていた響の元へ到着する。


 「よし。それじゃあ、ここを破壊するよ」

 響は胸の前で手を叩いて、センリに言う。


 「僕は派手な攻撃はできないから頼んだよ」

 ヘラヘラした顔で響はセンリに頼む。


 「はぁー。そうだった」

 ため息をつきながら、センリは攻撃の準備をする。


 センリの着る黒いマントの後ろには大きな剣を下げていた。


 右手で握り、剣を構える。


 センリの胸から足ほどまでの刀身の長さ、血のように赤い色、震えるような威圧感、見るだけで震えるような威圧感を放つ。


 刀身に魔力を集中させ、周囲に斬撃を放つ。


 ガラス張りの部屋は派手に散っていき、幾つもの斬撃が最後に重なって竜巻のように研究所を覆い尽くす。


 「こんなもんでいいだろ」

 センリはそう言って後ろにいる響を追い抜くように歩いていく。


 「おつかれ」

 響もそう言ってエリュシオンに上がる。

 

 

 エリュシオンの外に出ると、鬱陶しいくらいまだ人が交錯していたが、前方にある大きな木の下にセナが座っているのが見えた。


 二人はすぐに駆け寄り声をかける。


 「無事だったか!」

 響は嬉しそうな表情で声を浴びせる。


 「はい。なんとか」

 座っているセナの両隣には気を失っているクラネとラスカの姿があった。


 その光景を見た二人は大体のことを察する。


 「後はあの3人を待とう」

 センリは気にもたれかかりながら言う。


 そして、王城から出た星一たちがエリュシオン前の木にいる響たちを発見して、全員が揃った。


 揃ったところで響はみんなの前で仕切るように話す。


 「研究所は破壊できた。実験体になった人も解放した。ラスカも倒した。これで任務完了だ」


 「それじゃあ一旦メルベリアに帰ろうか。後のことはそこで考えよう」


 両手を叩いて現状を整理をした。


 「はい!」

 星一とフキ、エレサは返事をする。


 「ふんっ!」

 センリは鼻息を漏らすように頷く。

 

 セナは無言で頷いてクラネとラスカを担いで立ち上がる。


 これにてエルヘイムでの激闘は幕を閉じ、一同は帰還するのだった。

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