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ダブルワールド  作者: 東城陽一
第一部 魔法編 3章:研究所
42/58

42話:赤風と白氷

 身体中から赤い魔力が湧き出るマヤセは信じられないほどに力がみなぎる気がする。


 「これって……」

 マヤセは戦争で星一が赤い魔力を使用していたことを思い出す。


 「でも……これなら!」

 絶望的だったこの状況に一筋の光を見出す。


 「魔力が赤く!?」

 フキはマヤセが極式を発現させ、動揺しながら驚いている。


 「あれって、星一が使ってたやつだよね!?」

 これはもしかするんじゃないかとピリィは思う。


 「……」

 無言でセナは戦いを眺める。


 自分の力の使い方が頭に直接流れてくるようにわかり、マヤセは拳を握る。


 そしてラスカを見つめながら、視線を動かす。


 すると、ラスカの背後から突然風の斬撃が出現し、直撃する。


 「なるほど、こんなこともできちゃうのか」

 マヤセが今したことは、空気中に漂う魔力を動かしたことだ。


 視線を向けることで、空気中に漂う魔力を自分の魔法に変換して操る。


 これが極式。これまでの戦闘手段を大きく広げることができ、自分の魔力以外も支配することが可能となった。


 問題は極式を発動した今、ラスカに通用するのかということである。


 斬撃が命中し、土煙の中からだんだんとラスカの姿が見えてくる。


 身体中に鎧のように纏っていた綺麗な氷がピキピキと音を立てて崩れていく。


 これまで全魔力を集中することでしか突破することができなかった、氷の硬度をこうもあっさりと砕いたのだった。


 自分の魔法を砕かれたラスカの表情は何一つ変わらないが、マヤセの方を見つめる。


 そして、何か誇らしげな感じで少し微笑むのだった。


 「っ!?」


 その表情を見たマヤセは目に涙を浮かべる。


 「やめて……くださいよ……そんな顔!しないでよ!!」

 その言葉を放ち、マヤセは俯く。


 ラスカの笑みはいつも見ていた、マヤセの大好きなラスカそのものだった。


 そんな顔をされたら、攻撃できない。本来魔法を向けることすらしたくない。そんな思いを押し殺してここに立っているマヤセの精神が掻き乱される。


 だが、そんな葛藤をラスカは見逃さない。


 その場から踏み込んでマヤセに突撃する。


 「くっ!?」

 動揺しているマヤセは反応が遅れるが、瞬時に視線を送り、いくつもの斬撃を放つ。


 しかし、華麗に全てを回避したラスカは、空へ飛びながら、氷剣を握りしめて斬りかかる。


 風剣で受け切り、その場で撃ち合いが始まった。


 極式に入ったことで集中力が増したマヤセは、先ほどの撃ち合いの時より余裕があると思う。


 撃ち合いの中で視線を右に送り、ラスカの左腹部に斬撃が命中し、その衝撃で少しよろめく。


 その隙に身体を回し、その勢いのまま氷の剥がれた左腹部に風剣を振るう。


 だが命中する寸前に氷を纏い直され、風剣がダメージを与えることができなかった。


 接触による衝撃でラスカは吹っ飛び、風剣をしまいマヤセも後を追う。


 追う最中にラスカの周りに視線を送り、風の斬撃が四方八方に襲ってくる。


 この瞬間、今まで顔色一つ変えなかったラスカが目を大きく開けて驚いていた。


 回避することはできず、そのまま風の斬撃はラスカを埋め尽くす。


 片膝をつきながら纏っていた氷は全て砕けながら剥がれ落ちる。


 そして立ち上がり、ラスカはマヤセを見失っていた。


 マヤセはラスカの背後を取り、抜刀の構えで待ち構えている。


 「ウインブレード!!」

 抜刀の動作と共に風剣を生成し、ラスカの胴体目掛けて振り切った。


 その初動を目の端で捉えたラスカは風剣が直撃する前に氷剣でなんとか命中を避ける。


 その勢いでさらに吹っ飛ばされたラスカは、建物に直撃する。


 風剣を防ぐことしかできなかったため、身体中に氷を纏うことができなかった。


 そのため、やっとダメージを与えることができたと言える。


 崩落した建物の中で座るラスカの服が埃で汚れ、立ち上がってマヤセを見つめた。

 

 「はぁ、はぁ、、」

 何とか渡り合えているが、気を抜けば一瞬で死ぬ。そんな攻防中で一気に疲労が身体中を駆け巡る。


 「マヤぁーー!!!」


 「えっ—!?」

 後ろの方から声が聞こえる。


 戦争の後さらに帰っていたフランが走りながらやってくる。


 「フラン!?」

 マヤセにとっては最悪の展開だった。


 何故ならフランにはラスカが国を襲っているということを知ってほしくないからだ。


 フランは勇敢だ。決して勝てない相手だったとしても立ち向かう勇気を持っている。だが、今回は違う。


 マヤセはフランがラスカと戦うなんて望まない。そんなのは見たくもない。


 それは星一とフキに出会う前、マヤセをただの女の子として、友達として見てくれた二人だからこそ、二人が敵対するなんて死んでも見たくなかった。


 「どうする……」


 マヤセはここでフキを見つめる。


 当然フキも何かを訴えるような目で見てくるマヤセに気づく。


 「何だ?」


 ここでフキは、マヤセの後ろからフランが合流しようとしていることがわかる。


 「何であんなとこにフランが」


 「ごめん」


 マヤセはフランに目掛けて竜巻を放つ。


 「うぇ!?」


 フランはその竜巻に飲まれ、吹っ飛ばされていく。


 その竜巻に攻撃性はなく心地のいい風がフランを包み込みながら離す。


 「そういうことかっ!」

 フキ達はフランを拾いに行くため、その場を離れる。


 「これで……」

 フランを遠くに飛ばして少し安心する。


 すると氷柱が飛んでくるが、風剣でぶった斬り、対処した。


 ラスカはマヤセ前まで歩いてくる。


 「ふぅー。そろそろ終わりにしましょう」


 マヤセは全魔力を右手に集中させる。


 そして風剣を生成し、突きの構えをとる。


 対してラスカは身体中に氷を展開し、受ける態度を示す。


 「受けてくれるんですか? 優しいですね」


 マヤセは目尻を下げて少し笑う。

 国中に赤風が吹き荒れ、風の音が響き渡る。


 「ラストマジック!!」

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