4話:編入試験
学園に向かう途中にフキはあることが気になり、星一に尋ねた
「そういやギルドにいる時、何声出して驚いてたんだ?」
「え? あー、編入試験の説明の時にお姉さんが言ってただろ、魔法が使えなくてもって」
「俺はこの大陸にいる人はみんなに魔力があって、フキみたいに魔法が使えると思っていたからちょっと驚いただけだよ」
「なるほどね。何なら魔法を使えない人の方が多いと思うよ」
「マジか! なら仲間集の難易度が上がるなぁ~」
少し重そうな声を張る。
「でも学園に編入できたら、魔道士もたくさんいると思うから、仲間集めにはうってつけの場所だと思うよ!」
「そうだな! そのためにも、ちゃっちゃと合格しよう。お互いにな!」
学園に到着するフキと星一は、そのデカさに圧倒されながら見上げていた。
「お城みてぇなとこだな~」
星一は、関心した声でそう呟く。
「本当のお城は別であると思うよ」
入り口を入ってすぐに受付のような場所を見つけて、そこに立つお姉さんに声をかける。
「編入試験を受けに来ました!」星一は元気な声で、受付嬢に言う。
「承知いたしました。ではこちらの紙に名前と年齢、魔法のご記入をお願いします」
二人は、紙を受け取り、黙々と記入する。
先にフキが記入し終わり、提出する。続けて星一も提出した。
「ありがとうございます。確認いたしますね」
「お名前は、フキ様。ご年齢は17歳で使用する魔法は風、続いて、星一様、ご年齢は17歳で使える魔法は……星一様、魔法の欄のご記入をお忘れですよ」
「ん? 忘れてないですよ、魔法使えないんで」
「えぇ!! あ、コホン、この編入試験は、実力のみを問います。魔法が使えないとなれば……」
「魔法が使えないと受験できませんか?」
星一はちょっと焦りだす。
「……規則上、問題はありません。ですが非常に危険です」
まるで君は今から死にに行くようなもんだ。みたいな目で星一を見る。
「大丈夫ですよ!」
自信ありげな声で星一は答える。
「彼は、かなり強いんで心配ないと思いますよ」
フキも星一が受験できるようにフォローする。
「わかりました……ではこちらへどうぞ」
フキは小さい声で耳打ちをする。
「魔法が使えないって本当か?」
「本当だよ。俺は魔術師だ、魔法じゃなくで、使うのは魔術だ」
「確かに、魔法と魔術の違いは、何かわかるのか?」
フキは納得と疑問をぶつける。正直違いよりも魔術については今すぐ知りたいくらいだ。
「まだわからない。でも魔法を見ていくうち何か気づくことがあれば、教えるよ」
喋りながら受付嬢について行ってるうちに試験場に到着する。
「では、編入試験の内容を説明します。この扉の奥は、バトル場となっております。ここで一人ずつ魔獣と戦ってもらい、勝利すれば合格です」
「わかりやすくて助かる」
「では、フキ様からどうぞ」
「はい」
「かましてこい!」
星一はそう言って送り出す。
フィールドは円形であり正面にはでかい鉄格子がある。目線を少し上げると観客席が移る。座ってる人は試験官だろう。
いきなり編入試験を受けるって言ってから順調にことが進みすぎていることに星一は疑問を覚えるが、学園側の体制がしっかりしているのか、暇なのか、自分の故郷とは設備が違いすぎるせいなのか、よくわからなかった。
試験官っぽい人が立ち、それでは開始する。と始まりを告げる。
巨大な鉄格子がガラガラと開き、重い足音を轟かせて魔獣が姿を現す。
「あれは、山脈で殺されかけたやつと同じタイプか……」
こうしてまた目の前に立つが、あの時のような恐怖は感じない。
むしろフキにはやれるという謎の自信が込み上げてくる。
魔獣は、距離を詰め、拳を振るうが、フキは後ろに回り込み、風の刃を突き立てる。魔獣は悲鳴を上げ、膝をつく。その隙をつき、頭部へ渾身の一撃を叩き込む。
「これで決める! --フルウィンド!」
魔獣の頭部は吹き飛び胴体はその場で倒れこむ。
「あれほどの魔獣を一瞬で倒すとは……!」
試験官は驚きが隠せない。
「やればできるじゃんか」
星一は、嬉しそうな目でフキを見る。
フキは星一の元へ戻る。
勝ったぜ!とハイタッチをする。
「じゃあ行ってくるわ」と言い、星一はバトル場に向かう。
「あのフキという少年は、本物だ、間違いなく今の学園でも上位の実力だろう」
黒い髪の毛に白髪交じりの試験官がフキを評価する。そして、次に戦う星一の記入した紙を見ながら感嘆する。
「しかし、次の受験者、星一……魔法が使えぬとなれば、合格は無理だろうな」
巨大な鉄格子が再び開き、四足歩行の大型魔獣が登場する。
「ライオンかよ」
あまりに似ていた星一は思わず呟く。
試験官が開始の合図を出し、試験が始まる。
普通なら開幕直後に動き出すはずだが、星一は全く動かない。
ただしっかりと、魔獣を見据える。
魔獣も一歩、二歩歩み出るが……突然足を止める。これ以上進もうとしても進むことができない、まるで後ろから鎖で繋がれているように。
「なんだ!」
試験官も戸惑いを隠せない。
魔獣は低くうねり声を上げながらも、一歩……また一歩と後退する。
そしてーーついに腹を地面に着け、降伏の姿勢を取った。
試験官はしばらく言葉を失ったが、やがて立ち上がる。
「し、試験終了! フキ、そして星一……両名、合格とする!!」
こうしてフキと星一は難なく編入試験を通過し、学園編入の切符を手に入れた。




