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ダブルワールド  作者: 東城陽一
第一部 魔法編 3章:研究所
37/56

37話:先輩

 玉座の間に黒い霧のようなものが広がり、星一とエレサはその黒い霧に吸い込まれ姿を消す。


 「消えたぞ!?」

 ラヌイは訳がわけがわからない様子で目の前の少女を見る。


 「その二人はもらっていきます」

 白髪の少女はラヌイとメグリに告げる。


 「何者だ?」

 ラヌイはそう言いながら右手に炎を纏う。


 メグリは、黒い霧に動揺するが王のそばへ行き、警護する。


 「答える必要はありません」


 その言葉を聞いたラヌイは炎弾を放つ。


 しかし、炎弾は少女の前で消失する。


 「なに!?」


 「それでは、さようなら」

 白髪の少女はそう言い残し、黒い霧と共に姿を消した。


 「なんだったんだ、あいつは」

 ラヌイは背筋が凍りながらそう呟く。


 ***************


 「あっ? あ?」

 星一は薄暗い煉瓦の部屋で目を覚ます。


 「エレサは!?」

 そう言って、辺りを見渡すと、エレサは星一の隣でまだ眠っていた。


 「よかった......」

 エレサの安否を確認して安堵する。


 そして、王との会話を思い返し、メルベリアの協力を得られない結果となってしまったことを少し悔やむ。


 王がもう少し寛容だったら、などと考えるが、自分の力不足が招いた結果だと自分で勝手に納得する。


 「外れてる......」

 星一とエレサが付けていた魔封鎖が外れてその辺に落ちていた。


 落ちている魔封鎖を拾ったその時、部屋のドアが開く。


 「起きましたか?」

 そう言って白髪の少女が入ってくる。


 「お前は......何者だ?助けてくれたことは感謝する」

 感謝はするが、星一は白髪の少女を警戒している。


 「私は、クラネ」

 そう名乗り、星一の前へ立つ。


 綺麗な白髪に特徴的な青い目をしている。


 「俺は西早——」

 

 「星一ですね」


 星一は名を名乗ろうとするが、途中で割り込まれる。


 「なんで......知ってんだよ?」

 

 「なんでって、戦争の映像は見てましたから、名前くらい知ってます」

 何言ってんだと言う顔で返す。


 「なるほど」

 星一は戦争の映像が大陸中に放映されていたことを忘れていた。


 「あの黒い霧はクラネの力か?」

 間違いなく黒い霧を使っていたクラネに質問する。


 「はい。あれは闇魔法です」

 躊躇なくクラネは答えてくれた。


 「闇ぃ!? そんな魔法もあるのか」

 星一は驚いた様子で大きい声を出す。


 「は!?」

 星一の大声に反応して、エレサが目を覚ます。


 「起きたか!」

 飛び起きたエレサに星一は駆け寄りながら声をかける。


 「ここは?」

 目をこすりながらエレサは呟く。


 「わからん。でもクラネが俺たちを助けてくれたんだ」


 「クラネ?」

 

 クラネは座っているエレサの前にしゃがみ、声をかける。


 「クラネと言います、よろしく。エレサ」

 そう言ってクラネは手を出す。


 「は、はい」

 エレサは、流されるままに握手を交わす。


 「話を再開するけど、どうして助けてくれたんだ?」


 星一は一番疑問に思っていたことを聞く。


 「それは、簡単です。連れてきて欲しいって友達に言われたからです。勝手ですよね。会いたいなら自分で会いに行けばいいのに」

 クラネは地面をコンコン蹴りながら、愚痴る。


 「友達?」


 「はい。なので代わりに私が迎えに行ったら、なんか殺されそうになってたんで助けました」


 「タイミング良すぎるだろ......」

 1日でもクラネが来るのが遅れてたらと思うと星一はゾッとする。


 「連れてくるよう言われたのは星一だけだったのですが、エレサもいたのでついでに連れてきました」


 クラネは淡々と話す。


 「てか、二人はめちゃくちゃ殺し合ってましたよね?なんでそんなに仲良さげなんですか?」

 クラネの渾身の?を二人に聞く。


 「それは......」

 星一はそう言ってエレサと見つめ合う。


 「色々ありました」

 エレサは恥ずかしそうに言い切る。


 「そんなことより、ここはどこなんだ?」


 「ここはエリア帝国の跡地です」


 「エリア帝国?」

 学園にいた頃の授業でそんな話をしてたようなしてなかったようなと星一は記憶をほじくり返す。


 「100年前に滅んだ国で、私たちはその国の残った家や部屋を使っています」


 「南は荒れた土地というイメージがあったので、ここまで整ったところだとは思わなかったです」

 エレサはエリア帝国の歴史を知った口で話す。


 「案外いい場所ですよ。滅亡した国なんかに近づく人はいませんし」


 二人は質問することはあらかた聞き終わり、少し沈黙が続く。


 「話も終わりましたし、行きましょうか」


 「行くって?」

 立ちあがろうとするクラネの動作の途中で星一は声をかける。


 「この部屋の奥に星一に会いたがっている人がいるのでそこへ」


 エレサはそれを聞いて、自分の顔に指を刺して星一を見る。


 「エレサもついていっていいよな?」


 「もちろん」


 「いいってさ!」

 星一は微笑みながらエレサと一緒に立ち上がる。


 三人は煉瓦の部屋を出て、左へ曲がり、一番奥にある部屋のドアの前に立つ。

 

 そしてクラネはその部屋のドアを開け、中に入る。


 その部屋は、エリア帝国の偉い人が使っていたであろう感じに装飾や家具が充実していた。


 「連れてきたよ」

 クラネは部屋に入って奥にある机に座っている男性に声をかける。


 「いやぁーごめんね。無理言って」

 その男性はクラネに反省した態度をする。


「疲れたよ。行くのに2日もかかったんだから」

クラネはむすっとしている。


 「本当にごめんてぇ」

 両手を合わせて若干頭を下げる。


 「もういいよ。それより星一に会いたかったんでしょ?」


 「そうそう。初めまして......だね?星一君」


 「誰だ、おっさん」

 星一は外見は優しそうだが、相当な手練れだと感じ、警戒する。


「俺は春山響(はるやまひびき)。君の先輩だよ」


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