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ダブルワールド  作者: 東城陽一
第一部 魔法編 2章:エルヘイム
32/56

32話:決着

 赤い魔力が身体から湧き出るように放出する。星一はその赤い魔力を身に纏いながら笑みを浮かべる。


 「魔力が赤く......」


 エレサは初めて見る赤い魔力を珍しそうに見ながら呟く。


 「魔力が赤くなったからどうだって言うの?」


 「じゃあ、教えてやるよ」


 星一は右手をゆっくりと前に出し、人差し指を下に向ける。


 「何それ」

 そう言った瞬間だった。


 エレサは急に体制を崩し、そして跪き、地を這うようにその場から立ち上がれなくなる。


 「うっ! ......なんだこれ!?」

 

 まるで巨大な手に押し付けられているかのように、建物の上で動けなくなり、次第に建物がひび割れていく。


 そして上空から落ちてきたかのように、建物が崩壊し、地面に打ち付けられる。


 「ガハッ!」

 膝をついて下を向きながら地を吐く。


 「どう言うことだ?あれは...間違いなく重力による攻撃だった」


 触れることで魔術を発動させると断定していたエレサは再び魔術がなんなのか分からなくなる。


 「俺が負けたら意味がないんだ。何のために俺はエレサに......」


 崩落した建物の中心でエレサはぶつぶつと言っている。


 青雷を纏い上に上がり、星一を見つめる。


 「どこが変わったか、わかった?」

 星一はわざとらしく聞く。


 「分かるかよ......」

 エレサはボソッと答える。


 「そろそろ終わらせよう。この戦争を」


 星一は真剣な目つきで言い、エレサは無言で構える。


 建物を飛び青雷で距離を詰め、星一目掛けて仕掛けたエレサだったが、空中で体勢を崩す。


 「なっ!」


 その隙を見逃さなかった星一はエレサの頭上を取り、蹴り下ろす。


 「重い!」

 重い蹴りを喰らったエレサは、地面に叩きつけられるが、すぐに持ち直して空を見るが星一を確認できなかった。


 辺りを見渡していた時、後ろから強い衝撃を感じる。


 「ぐっ!」

 エレサはすぐに薙ぎ払うが、手応えがない。


「石?」


 その衝撃はただ石がぶつかっただけだった。


 そして前を向いた瞬間、赤い拳で視界が埋め尽くされ、おもいっきり顔面に拳を喰らう。


 「ンッ!」


 ボゴッ。重い身体の接触音が響き、血を吐き散らしながら飛んでいく。


 二人の戦いはメルベリア全域がリングのように、勢いを増す。


 建物に衝突し、仰向けに倒れるエレサは考えた。


 空中で体勢が崩れた時、石が飛んできたとき、間違いなく魔術によるものだ。それも、周辺の無機物にまで影響を与えている。


 「ありかよ......そんなの......」


 エレサは触れなくても魔術を発動させていると感じた。


 だが、戦意は失っていない。むしろ、まだ勝てると思っている。


 「スピードは俺のほうが勝ってる」


 魔術を使わせないくらいの速さで攻撃するしかない。


 考えを巡らせながら立ち上がり、星一の元へ向かう。


            ◇

 「あれが......極式」


 二人の戦いを見ていたフキは、星一の纏っている赤い魔力を見て極式の凄さを実感する。


 「凄いな......星一は......」

 星一の戦う姿を見て、フキは目を閉じて考える。


 俺はこのままでいいのか。自分の心配ばかりして、何もできていない。


「フキは自分の思いを行動に変えた。これは案外簡単そうに見えて、できないことなんだぜ」


 あの日の星一の言葉を思い出す。


 「あれはただ怒りでああなっただけだ」

 自分がすごいなんて思っちゃいない。


 星一がそう思っていてくれたとしても、俺はそうは思わない。


 いつか、失望される時が来るかもしれない。


 「それは、嫌だ!」


 「俺は、自分で前に進める俺になりたい!! 俺は、お前に誇れる俺でありたい!!」


 星一の姿はフキにとって勇気を与える事となり、胸の内で決意を固める。


 学園に迫る魔獣たちを薙ぎ払い、フキは一歩前へ踏み出し、歩き始める。


            ◇


 極式に入った星一はエレサと対等以上に戦えるようになり、勝気を探りながら、決め手を待つ。


 青雷を纏ったエレサのスピードは、星一でも対処可能な程に落ちている。


 「くそっ、ギリギリでいなされる」

 エレサは胸の内で呟く。


 星一はエレサの身体を重くしつつ、自身の身体の重力コントロールを緻密に制御する事でスピードの差を埋める。


 星一の猛攻は続く。エレサは足を掛けられ宙に浮き、脇腹を蹴り飛ばされた。


 すぐに立ち上がり前に進もうとするが、身体が重くなり、跪く。


 その瞬間、星一は距離を詰め、エレサの顎に膝蹴りを入れる。


 「かはっ!」


 エレサは白目を剥き、血を吐きながら仰け反った。


 意識が飛びかけるが、なんとか保ち、星一に頭突きをかます。


 「うおっ!」

 星一は驚きながら後ろに下がるが、再び距離を詰める。


 「舐めんなよ......」

 エレサは青雷を身体中から放出し、広範囲に巻き込むように攻撃する。


 「やべっ」

 触れるだけで大ダメージを受ける青雷を警戒し、星一は空へ飛ぶ。


 エレサの頭上に構え、見下ろす。


 宙に浮きながら星一は赤い魔力を右手に集中させる。


 エレサも星一が構えるのを確認し、自分も構え、両手を重ねて青雷を集中する。


 星一の拳から光る赤い魔力、これから隕石でも落ちてくるのではないかと思わせる程の覇気が国中に輝く。


 「——無砲」

 星一は、拳を振り下ろし、赤い魔力が直下する。


 「トラルエレクトラッ!」


 エレサは、対抗するように両手に込めた青雷を放つ。


 両名の技はぶつかり拮抗するが、星一の放った技が次第に押し始める。


 そしてエレサの青雷は弾かれたように消え去り、圧倒的重量の砲弾が直撃する。


 その威力はまるで全てを無に帰すかのようにメルベリアの中心を陥没させた。


 エレサは意識を失い、その場で倒れている。


 星一も空からエレサの近くに落ち、息を切らしながら、倒れている。


 「なんとか......勝てた......」


 星一の勝利により、エルヘイムの精鋭を全員倒した事でメルベリアの勝利が決定した。

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