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ダブルワールド  作者: 東城陽一
第一部 魔法編 1章:学園
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18話:新たな一歩

 話を終え、部屋を出てきた星一をマヤセはじっと見つめている。


 まるで標的を定めたようにじっと――


 「本当に……これでよかったんですか?」


 マヤセ鋭い目をやめ、心に問いかけるように口を開く。


 「いいんだよ...フキを退学にはしたくない。俺の退学で済むならそれが一番だ」


 星一は、静かに意見を述べる。


 「残ったフランやフキさんはどうするんですか?」


 「フキに教えることは、一通り教えた。後は勝手に強くなっていくさ……そして――フランはフキに託す」


 「それじゃあ!あの子は……」


 「フランは強い子だから、教わるのが俺じゃなくてもやっていける」


 星一は真剣な目で訴えかけるようにマヤセに話す。


 「それは……あまりに勝手です……フランはあなただから、これまで辛そうにしてた鍛錬も楽しくやっているんですよ……」


 マヤセは視線を下に向け、少し弱った声で星一に訴えかける。


 星一にはまだ教えたい気持ちもあった。しかし、星一は二人に自分を超えて欲しいという思いの方が強かったのだ。


 星一という指標を追い求めた先にあるのは、依存である。依存すれば、到底超えることはできない。


 「俺はずるいのかも知れないな」


 星一は考えながら、心の中でそう思う。


 「後は任せる」


 そう言って、星一は歩き出す。


            ◇

 ——翌日


 星一の提案通りフキの代わりに星一が退学することが決定した。


 「どうゆうことだよ……!?」

 フキはそのことを知り、酷く慌てた様子で星一に言いよる。


 「フキを退学にさせないためにはこれしかなかった」


 星一はきっぱりと答える。


 「鍛錬は? 仲間集めは? どうするんだよ!」

 フキは焦っていた。置いていかれるんじゃないか、見捨てられたんじゃないか、そうゆう思考が頭を巡る。


 「心配すんな! 鍛錬はたまに見にくるし、仲間集めは、ここじゃなくてもできる」


 星一はそう言って、フキを落ち着かせる。


 「俺のせいで...…」


 フキはボソッと呟いた。


 「思い詰めすぎなところはお前のよくないとこだぞ。もう少し楽観的に考えてもいいんじゃないか?」


 星一はフキの肩を叩きいてそう言う。


 だが、フキが星一の本質を知るのはもっと先の話だ。


 「もう学園を出なきゃならねぇ。見送り頼むぞ」


 星一はそう言って、部屋を出る。


 フキは、下を向きながら星一に出会った時から今までのことを振り返っている。


 フッとフキは笑い、顔を上げる。フキは迷いのない決心した面持ちで部屋を出て星一を追いかける。

 

 星一とフキは学園の門の前で向き合っている。


 「これからも精進するんだぞ」


 「ああ。星一と並んで戦えるように頑張るよ!」


 二人はニッと笑い合う。


 そこへフラン、マヤセ、ミナが駆けつける。


 フランが泣きそうな顔で叫ぶ。


 「待ってよ! 何で退学なんかするの?これから私はどうすれば……」


 「これからはフキが見てくれる。ちゃんと学ぶんだぞ」


 「でも……」


 「この国からいなくなるわけじゃない。次会うときに、見せてくれよ。フランの成長をさ!」


 星一は、フランの肩を持ち微笑むように言う。


 「わかった! 星一くんが驚くくらい強くなるよ!」


 フランは、新たな決意を胸に宣言する。


 「怪我が治って安心したよ」


 星一は優しくミナに声をかける。


 ミナは悔しそうに唇を噛み、頭を下げる。


 「……私のせいです。私が負けたから……」


 「ミナ、お前が気にすることじゃねぇよ。これは俺が自分で決めたことだ。」


 星一はミナに責任はなく、あくまで自分の意思だと告げる。


 「フキを頼むぞ。意外と暴走しがちだからさ」


 星一はフキをいじってる風に言う。


 「はい!星一くんもこれから頑張ってください!」


 そして最後に星一はマヤセを見つめる。


 マヤセも星一を見つめ、沈黙が続く。


 二人は胸を撫で下ろすようにムっと笑う。


 星一は振り返り、朝日が照らす学園を跡にした。


            ◇


 「さて、これからどうするか」


 星一は歩きながら、考えているがすることがなかった。


 そこで星一は会議室での教師達との会話を思い出す。


 「迷宮がどうのこうのって言ってたな。迷宮ってなんだ?」


 星一は迷宮が気になり出し、こうゆうときは!という感じでギルドを目指す。


 ギルドに着くと、以前対応してくれたお姉さんがいた。


 「久しぶりです! お姉さん!」


 星一は陽気に声をかける。


 「お久しぶりです。編入試験合格したと伺いました。おめでとうございます」


 ポニーテイルのお姉さんは暖かく激励してくれる。


 「ありがうございます。でも今日で退学になりました」


 星一は元気よく返す。


 「そうですか……」


 学園は厳しいところなんだと思い、お姉さんはそれ以上は聞かなかった。


 「今日はどのような要件で?」


 「迷宮について聞きたくてここに来ました」


 星一は本題に入る。


 「迷宮ですね」


 お姉さんはそう言って、説明を始める。


 「迷宮は山脈の中心にある大穴のことです。迷宮はメルベリアの魔法師団が総力を上げて開拓中ですが、まだ1層を攻略中と開拓は進んでいません」


 「そんなところが」


 「数日後に二人の師団長、メグリ様とラヌイ様が遠征に行く予定みたいですよ」


 星一は迷宮の話を聞きワクワクしてくる。


 「迷宮は僕も入れますか?」


 星一は迷宮に入りたくなっているため、入れるかの確認を取る。


 「すみません。迷宮に入れるのは魔法師団の人たちだけになります」


 その言葉を聞き、星一の表情は、ありえないほどに曇る。


 「わかりました。ありがとうございます」


 星一はそう言って、ギルドを立ち去ろうとする。


 「お待ちください!」お姉さんは星一を引き留める。


 「ささやながらですが、これを...」


 お姉さんそう言って、星一に小さな袋を渡す。


 星一は袋を受け取り中を確認する。


 袋の中には、少量のお金が入っていた。


 「いいんですか!?」


 「はい。私個人からの編入試験合格のお祝いに受け取ってください」


 星一にはお姉さんが女神のように映っていた。


 「ありがとうございます!」


 ありがたく受け取り、星一はギルドを後にする。


 そして星一は迷宮へと向かうのであった

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