13話:不安
フランは涙を拭い、片足を引きずって歩きながら、ツノを拾う。
「早く戻らないと点数が……」
「その足じゃすぐには戻れないぞ」
星一は、フランの足を心配して、急ぐことはないと思っていた。
しかし、フランは真剣な眼差しで星一を見つめる。
「うぅ、そんな目をされたら……」
押しに弱い星一はフランの眼力に負けた。
「わかった!俺 がおぶっていくから、それで戻ろう」
「えぇ! そこまでしてもらわなくても……」
フランは驚きと恥ずかしさが混じった声で答える。
「多分一番早く戻れるのはこれだ」
星一はそう言って、フランを背中に乗せ走り出す。
「速い! それと体が軽いような...?」
フランは胸の内でそう思い、星一の存在が魔法を使えない人でも強くなれる象徴のように認識を改める。
「よし! 着いた」
星一とフランは先生達の所へ到着する。
そしてツノを渡し、授業を終える。
「君たちは5着目だ。お疲れ様!」
先生は点数入れておくから、と言い、激励の言葉を言う。
「先生、フランが怪我したんだけど、どうしたらいい?」
星一はフランの状態を説明する。
「それなら、ミアレ先生が治してくれる」
それを聞いた、星一は、フランに肩を貸し、歩き出す。
「ギリギリ5着だったぞ!」
「うん……私一人じゃ無理だった。星一……くんのおかげだよ」
フランは下を向いてそう言うが、どこか嬉しそうな感じであった。
それを聞き、星一も微笑む。
ミアレのところへ連れていくと、「大丈夫か⁉︎」と心配してくれる。傷を確認したミアレは、
「これならすぐに治せる」
そう言い、水の魔法でフランの怪我を治療する。
顔や足の腫れはみるみる引いていき、フランは一人で立てるようになる。
「よし、これで治っただろう」
「はい! ありがとうございます」
フランは星一のところへ戻り、口を開く。
「ごめんなさい」
一人で突っ走しっちゃったことと、訓練に出なかったことを謝る。
「もう過ぎたことだ。びっくりはしたけど、もう気にしてないよ」
星一はそう言って、フランの前に手を出す。
「明日からはちゃんと、俺の指導受けてくれるか?」
「はい! 必ず!」
フランは、決心した良い表情と声で返事し、星一と握手をする。
そこにフキとマヤセがやってくる。
「遅かったなぁ〜星一〜」
1着で戻ってきていた、フキは陽気に話しかける。
「めんど」
星一は内心そう思う。
マヤセとフランも色々と話している。
「授業終わったし、帰ろーぜ」
星一はそう言って、フキ達と学園に歩き出す。
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「今日の昼ごはんはミナと約束してるんだけど星一も来る?」
「そうなのか? じゃあ行くよ」
星一はそう言って、フキと食堂に行く。
「入り口で集合だから、ここで待とう」
フキはそう言って、ミナを待つ。
「ごめん! お待たせ!」
数十分後、ミナは走りながら向かってくる。
三人は合流した後、食堂でそれぞれ食事を取って、席につく。
3人で卓を囲み、後輩の話やさっきの授業の話で盛り上がる。
だが終始、ミナの表情が固かった。
「何かあったのか?」
星一は、ミナの様子に気付いて声をかける。
「いやぁ……その……」
「悩みがあるなら、相談に乗るよ」
フキもミナを心配してそう言う。
「ありがとう」
そう言ってミナは話し出す。
「今度、生徒会で魔法の対決があって、それに勝利できないと生徒会を辞めさせられるの……」
ミナは不安を隠せず、手をぎゅっと握る。
「とんでもないことするな、生徒会は」
星一は思ったことを言って、水を飲む。
「生徒会は全部会長の匙加減で動いてるようなもんだからね。私は戦うのは得意じゃないの。サポート系の水魔法しか使えないから……」
「どうにかしてあげられないか?」
フキは星一を頼る。
「俺たちは生徒会のメンバーじゃない、なんとかしてあげたいけど、これはミナの問題だ」
星一は冷たく現実を告げる。
「そっか……」
星一もなんとかしてあげたい気持ちがあったが、フキとフランの訓練などで時間の余裕がなかったのである。
「不安を吐き出せただけで、少し気は楽になったよ」
「応援してるよ!」
フキはそう言い、星一も首を大振りにして頷く。
ミナは話を聞き、考えてくれた二人に感謝し、席を立ち食堂を後にする。
フキと星一も食事を終え、部屋に戻ってきた。
「やっぱり何かできないかな?」
フキは食堂でのミナの表情が脳裏にチラつく。
「その対決は、数日後の話だろ?なら稽古をしたってその効果が出るとは限らない。重要なのはやっぱり継続することだ。鍛錬、経験を積み重ねていくことで人は強くなっていく」
すぐに強くなる方法はないという旨を伝える。
星一の言うことはもっともなことであり、フキは聞き入れるしかなかった。
「だからミナを信じよう」
「うん……」
フキは、心配な気持ちでいっぱいであったが、ミナを全力で応援することに決めるのだった。




