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◆実体験を物語に……昭和ノスタルジー横丁のモデル
第四章の昭和ノスタルジー横丁、どこかで見覚えがあると感じた読者さんもいらっしゃるのではないでしょうか。
灯も第27話で
『神奈川にあるラーメンのフードテーマパークを思い出す。』
と独白していますが、この横丁のモデルは「新横浜ラーメン博物館」です。
20年以上前ですが、私はこちらで4年ほどバイトしていたことがあり、第四章の描写に大きく役立ちました。
私がバイトとして働いていたのは、グッズショップ。
いわゆるお土産屋さんです。
当時は地上のフロアにグッズショップがあり、テナントで入っているラーメン屋さんのお土産用のラーメン(スープがそのまま一杯分パウチされていました)や、各地の生ラーメン(某落語家さんの名前が冠されたラーメンとかも)、ドンブリなどを販売していました。
同じ27話で灯が陽菜にお土産で渡したと思い出している「レンゲとどんぶりのキーホルダー」は当時、人気商品でした。
あの施設は、地下の昭和の街並みに降りていく(タイムスリップしていく)構造になっています。
地下なので、拡張は基本的にできません。
よって、来場者から見えない場所に工夫がなされていました。
背景の一部として設置されているバーの扉を開けたら事務所、あるいはキャストさんの道具倉庫だった、といった描写は実際のバイト経験で見聞きしたことを参考にしています。
また、八百屋のハチがパンクロッカーだとか、流しのジョーが普通の会社員だとか、キャストさんたちの普段の職業を描写。
実際当時のラーメン博物館のキャストさんは役者志望のバイトが多くて、小劇団に所属していた方も少なくなかったようです。
このことから、キャストさんも普段の生活がある、ということを念頭に書いています。
ラーメン博物館でのバイト経験が無かったら、こういう描写は考えつかなかったはずです。
さらに、第59話で、灯くんに握手を求めてきた女の子が持っていた、銭湯(案内所)で配っている住人紹介。
これも、バイトしていた当時、実際にイラスト入りの住人紹介(漫画家を目指していた社員さんが描いていました)を配っていたことを思い出し、物語に出しました。
◆ツダシゲ商会のモデル……特定地域の覇者
第五章で瑞恵さんを描く上で重要なポイントである「ツダシゲ商会」。
作品舞台の2025〜2026年の茨城では、TESグループと名前を変え、地域住民で知らない人はいない巨大企業組織となっています。
このモデルは、茨城では知らない人はいない「S商事」です。
私はそのような企業体が存在することを知らずにそれまで過ごしていたので、茨城に行くとたくさんのS商事のガソリンスタンドや自動車販売店かあったのに、県を出たとたん全く見かけなくなる、ということが強く印象に残っていました。
営業車で駆け回っていた時期、この企業グループが地域経済のみならず、役所にも及ぼす影響を知り、驚くとともに面白いなと感じていました。
塩浜が「茨城のドン」と言われる影響力を持つに至った過程を考えるにあたり、このような企業体をバックにしていたら、いろいろ重みのある人物造形になるだろうと思い、S商事のエネルギーと自動車を中心にしたビジネス展開をモデルにしてツダシゲ商会の詳細を詰めていきました。
お断りしておきますが、実際のS商事に塩浜さんのような武勇伝を持っている人がいるかは知りませんよ!!(たぶんいない)




