戦慄の出会い
とりあえず遅い昼の食事を喉に押し込んでいた時、視界の端に『福岡第二基地 明光隊』の腕章が目に入った。
「明光隊の方!」
声をかけて振り向いた三人のうち、一人の少女は顔をぐしゃぐしゃにして泣いていた。
「立川基地戦闘補佐隊、中山隊隊長の中山中佐だ。いつも“うちの”王子がお世話になっている」
「あっ……福岡第二基地明光隊隊長、相原桜花軍曹です。隣が片倉紫陽上等兵、その隣が南野楓一等兵です。こちらこそ……王子中尉には本当にお世話になっています」
挨拶もそこそこに、俺は胸の虫の知らせを払うように切り出した。
「ところで……王子はどこだ?」
相原軍曹は痛ましそうに顔を歪め、言葉を詰まらせた。
「……先ほど本部からの司令で、臨時の小隊を率いて再び出撃しました」
言葉を失った。
三人が神力を使い果たして帰還し、動けない状態の中……あいつはまた一人で空へ戻ったというのか。
いや、小早の神力だとそうなるのは必然。
「……そうか、教えてくれてありがとう。向こうで王子に会ったら、君たちと会ったことを伝えておく。……ところで、南野一等兵。なぜ泣いているんだ?」
俺の問いかけに、南野は溢れる涙を拭いもせず、引きつった声で吐露した。
「っ……! こは……王子中尉が怪我をしたのは、私のせいです……! 私を庇って……それなのに、隊長にしか本当の体の状態を言わずに出撃してしまって……っ!」
胸の奥が冷たく凍りついた。
「……怪我って、王子はどこを怪我しているんだ?」
語られた事実は、俺の想像を絶するものだった。
ヤツの直撃を受けて高度から落下したこと。頭部を強く打って激しく流血していたこと。そして——左腕の骨が折れていること。
脳に異常はなかったものの、大量出血による重度の貧血で、本来ならベッドから起き上がることすら許されない絶対安静の状態だということ。
あいつ……また、自分を壊してまで……!!
立川のあの日に一人残され、安宅を救えなかった罪悪感に苛まれ続けてきたあいつの心が、今まさに崩壊へと向かっているのが痛いほど分かった。自分を犠牲にすることでしか、生きている価値を見出せなくなっているのだ。
「……分かった。教えてくれてありがとう。大丈夫だ、小早は強いから」
そう言い残すと、俺は返事も待たずに激しい足取りで走り出した。
背後で俺の叫ぶ教え子たちの声を振り切り、俺は桜木と関の元へ疾走する。
一刻の猶予もない。
手遅れになる前に——あいつが完全に壊れて二度と戻れなくなる前に、今度こそ俺の手で小早を止めなければならない。




