小早はどうしたいの?
「……あっ、相原先輩! すみません、先に控室へ帰られているものとばかり……」
廊下に出ると、相原先輩が壁に背を預けて待っていた。
「小早と二人きりで話したかったからさ。気にしなくていいよ」
相原先輩は小さく首を振ると、まっすぐ私を見つめてきた。
「あのさ……小早の意見を教えてくれない? どう分けるつもり?」
「私は……」
頭の中で組んでいた、最も冷徹で、最も生存率の高い編成を口にした。
言葉を進めるにつれて、相原先輩の顔が苦々しく歪んでいくのが分かった。
そりゃそうだ。長年一緒にやってきた彼女たちの絆や心情を思えば、私の案はあまりにも残酷で、受け入れがたいものに見えるだろう。
でも——これしかないのだ。
感情に流されて曖昧に分ければ、前線も防衛も共倒れになる。
相原先輩はしばらく辛そうに視線を泳がせていたが、やがて深く息を吐き出し、覚悟を決めたような目で私を見た。
「……それを、この後の全体ミーティングで言える?」
「……分かりました」
私が頷くと、相原先輩は「よし」と短く呟き、歩き出した。
一人残された廊下で建物の外へ目をやると、差し込む日差しと熱気が肌を刺す。
制服の襟元に、じんわりと湿った感覚が広がっていくのが分かった。
自然と体が汗ばんでくる。
それが連日の夏の暑さのせいなのか、それとも、これから隊の仲間たちに突きつける決断への極限の緊張からなのか——私には判断がつかなかった。




