被弾数
終了の合図とともにシミュレーターから抜け出し、出力された端末のデータログに目を落とす。
仮想訓練だからどれだけ撃たれても墜落することはないのが救いだが、弾幕を被弾したという記録自体は容赦なく数値となって示されていた。
【シミュレーション被弾データ】
王子:0
相原:30
菊名:50
鴨居:150
片倉:160
南野:190
成瀬:10
画面に並んだ数値を眺めながら、思わず胸の中で冷や汗が出る。
私が途中からサポートに入ったため、夏純の被弾は着任前の「10」で食い止められた。援護手としての最低限の責任は果たせたと言っていいだろう。
だが、他の数字は目を覆いたくなるような有り様だ。
特に援護手の鴨居先輩、片倉先輩、南野の被弾数が100を軽々と超えている。前線の攻撃手をカバーしようとして自分たちが蜂の巣になっている証拠だ。実戦なら全滅どころの騒ぎではない。
「王子、すごいじゃん! さすがだなー!」
汗を拭いながら歩み寄ってきた菊名先輩が、バシッと私の肩を叩いてきた。
「……ありがとうございます」
適当に言葉を返し、私は早々に着替えのため控室へと引き揚げた。
元々汗をかきやすい体質ではあるが、今日の汗の量は尋常ではない。着替えの替えが何枚あっても足りないくらいだ。
ずっしりと重くなった立川基地の訓練着を脱ぎ捨てながら、脳裏では先ほどの被弾データが焼き付いて離れなかった。
これが、今の明光隊の現実か……
士官学校の厳しい基準で叩き込まれてきた私にとって、彼らの「被弾を前提とした立ち回り」はあまりにも危うく、どこまでも異質なものに思えてならなかった。




