↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
69/269

紫陽との再会

空港の到着ロビーには、事前に連絡を受けていた通り、迎えのスタッフと共に一人の年配の軍人が立っていた。その穏やかな佇まいに、私は背筋を伸ばして歩み寄る。

「福岡基地の世田せただ。よろしく頼むね」

「明日より福岡第二基地明光隊に派遣となります、東京都立川基地戦闘補佐・中山隊所属、王子小早中尉です! よろしくお願いします!」

「王子中尉、車へどうぞ。移動中に話をしよう」

世田大佐は、かつてお世話になった日吉大佐と同じ系統の、優しそうなおじ様という印象だった。日吉大佐が「のほほんとしたおじいちゃん」なら、世田大佐はどこか「厳格だが温かい校長先生」といった趣がある。

基地までの約一時間、車中で世田大佐は様々な話をしてくれた。今、明光隊はちょうどパトロール任務に出ており、大佐が自ら迎えに来てくれたのは、月に数回しかない基地視察の日が偶然重なったからだという。

緊張していた私の心を解きほぐすような大佐の気遣いに、福岡での生活に少しだけ希望が見えた気がした。


基地に到着し、案内された個室で荷物を解く。

殺風景な机の上に、私は大切に持ってきた一枚の写真を飾った。

士官学校の卒業試験の後、三人で撮った写真。

真ん中で笑う安宅君、そして不器用な表情の関。

……頑張るね。安宅君、関。

今はもう空に還ってしまったリーダーと、立川で「つまらなそうに」リハビリを続けているライバル。二人に心の中で語りかけていると、廊下から聞き慣れた、懐かしい足音が近づいてきた。

「小早!」

紫陽しようさん!」

勢いよく飛び込んできた片倉紫陽かたくら しようさんと、私たちはたまらず抱き合った。中学の部活を辞めた後も、唯一私を理解し続けてくれた、温かい体温。

「小早が本当に派遣されるなんて思わなかった! さっき世田大佐から聞いて、もう、居ても立ってもいられなくて!」

紫陽さんは以前会った時よりも凛々しく、それでいて変わらない笑顔で私を見つめていた。軍の人事は直前まで知らされない。彼女も、まさか中学時代の後輩である私が自分の隊に「中尉」としてやってくるとは夢にも思っていなかったのだろう。

「みんなでご飯を食べるから、食堂に行こう!」

「はい!」

紫陽さんの弾むような声に誘われ、私は彼女の後に続いた。

明光隊の他のメンバーが誰なのか、その時の私はまだ知らない。

紫陽さんがいてくれる。それだけで、私の福岡での生活は明るいものになると信じて疑わなかったのだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。