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両刀手?

翌日から、先輩たちに混ざっての訓練が始まった。

私の神力量(神気)は、ここでも抜きん出ていたらしい。移動スピードや的中率でも、上位に食い込む。

最年少で唯一の女子ということもあり、先輩たちは私を「王子ちゃん」と呼び、すぐに受け入れてくれた。

訓練は5人1組。メンバーは毎日ランダムで決められる。

「実際の戦場では固定メンバーで戦えるとは限らない」という実戦的な理由からだ。時として攻撃手不在の極端な編成になることもある。

今日の課題は「班別対抗訓練」。

私の班は、なんと5人全員が援護手。対する相手班は攻撃手3、援護手2。

「これは……かなり不利ですね」私がそう漏らすと、

「普通、戦場でもこんな極端な編成はないよ。攻撃手が全滅した後の絶望的な展開だね」

と先輩達も苦笑いをしていた。

訓練が始まると、案の定、決定力不足に陥った。援護手の装備では、配点の高い目標を落としきれない。

誰かが、攻撃手の役割を担わなければ――。


安宅くんなら、どう動くだろう……


ふと、亡きリーダーの背中が脳裏をよぎる。

彼のように全員の適性を瞬時に見抜くことはできない。けれど、今の状況を打破する方法なら一つある。

「先輩方、私が攻撃手を務めます! 援護をお願いします!」

「王子ちゃん!? でも君は……」

「私には、それを補うだけの神力があります! だから……お願いします!」

「了解! 任せたぞ、王子ちゃん!」

私の「参謀」としての提案に、先輩たちが即座に応える。

狙うは敵チームの「ボス」。あの一体を倒さなければ、得点差で勝機はない。

「前方中央、突撃します!」

神力を飛行と推進力に回し、一気に加速する。

相手チームは攻撃手の多さを活かし、弾幕を張ってこちらを寄せ付けないスタイルだ。

ならば、その隙間を縫うしかない。

私は高高度へ浮上し、相手の弱点を見定める。

……動いた!

急降下を開始。同時に、前方へシールド(防御壁)を展開する。相手の反撃をシールドで受け流しながら、衝突寸前まで距離を詰める。

「今だ!」

攻撃の瞬間、シールドを解除。全神力を一点に集中し、衝撃波として叩き込む。

直撃。ボスのシンボルが消滅した。

「王子ちゃん! ナイス!」

現実に引き戻された私の耳に、先輩たちの歓声が響く。残った標的を、手に生成した無数の神力の弾丸で掃討し、訓練は終了した。


訓練後のビデオ反省会。

「まさか急降下中にシールドを維持して、攻撃の瞬間に解除するなんて……」

「あの神力コントロール、化け物じみてるよ!」

先輩たちの絶賛に、私は顔が熱くなる。

「王子中尉」

声をかけてきたのは、日吉大佐だった。

「君の戦い方、もしかしたら……ただの援護手じゃないな。『両刀手りょうとうしゅ』の資質がある。じゃあ、今日はお疲れ様!」

「両刀手……?」

私が、攻撃も援護もこなす、あの希少な適性者……?

士官学校で習ったけど、実際に会ったことはない……。

自分の手を見つめながら、私は函館の冷たい風の中で、新しい自分の可能性を反芻していた。

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