↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
275/281

俺を守るな!

「小早っ!!」

通信機越しに響いたのは、鋭い破裂音と、続いて漏れ出た短い悲鳴だった。

視界の端、敵の放った不可視の衝撃波が小早の腹部を直撃し、彼女の小さな身体が大きくのけぞるのが見えた。

くそっ、よりによって、あそこかよ……!

「小早! 応答しろ! 呼吸しろ、小早!!」

呼びかける俺の耳に届くのは、ヒュー、ヒューという、喉の奥を掻きむしるような痛々しい喘鳴だった。 激痛による過呼吸だ。 肺挫傷の古傷だ。空気を吸うたびに肺にガラスの破片が突き刺さるような感覚に、あいつは今、暗闇の中で溺れている。

「今すぐ行く! 持ちこたえろ!」

俺は目の前の敵を振り切り、小早の元へ機動を翻そうとした。 だが、その瞬間、目の前の「超重装甲種」が漆黒の銃口を俺に固定された。

動けない……っ!

俺が今、攻撃の手を緩めれば、一瞬で敵の弾幕に飲み込まれる。すなわち「死」だ。 俺一人が死ぬならまだいい。だが、今ここで俺がポジションを放棄すれば、俺を信じて背後を守っているボロボロの小早も、足を折って障壁を維持している中山教官も、全員がまとめて蜂の巣にされる。

俺にできるのは、血の滲むような思いで引き金を引き続け、敵の意識を自分に釘付けにすることだけだった。

「っ……、はぁっ、……せ、き……、まえ……っ!!」

通信から、血を吐き出すような小早の声が聞こえた。

見れば、過呼吸で視界も朦朧としているはずのあいつが、震える指先を空中に伸ばし、俺が次の攻撃へ移るための神力のベースやシールドを無理やり刻みつけていた。

「小早……お前、……やめろ! もういい、俺を守るな!!」

叫びは爆音にかき消される。 小早は、脂汗で顔を真っ青に染めながら、俺が戦い続けるための「道」を作り続けている。 俺を死なせないために、自分自身が激痛で崩れ落ちそうになりながら、その命を削って俺の背中を支えている。

守られているのは、俺の方だ。

安宅が命を懸けて繋いでくれたあいつを、俺が守るって決めたのに。 いざとなれば、俺はあいつが苦しむ姿をただ見ていることしかできないのか。

「あああああああああああああッ!!!」

俺は己の無力さを呪い、咆哮した。

指先まで痺れが回っているはずの小早が作ってくれた、震える光の足場。 俺はその上に乗り、全身の神力を束ねる。

安宅、見てるか……。俺は、……情けなくて、死にそうだ。……でも、あいつが俺を信じてベースを作るなら、俺は一秒でも早く、この絶望をぶち殺すしかないんだ……っ!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。