一緒に歩んでくれますか
任務を終えて帰寮するやいなや、待ち構えていたかのように関が足早に駆け寄ってきた。
「教官、今日、小早の件で病院で会議だったんですよね……? 一体、どうだったんですか?」
「……それについて、お前としっかり話さなければならないことがある。今から、俺の部屋に来れるか」
関を促して自室へと連れ込み、重い扉を閉める。木の椅子に腰掛けさせたが、目の色を揺らす関を前にして、俺は肺の奥まで冷たい空気を引き込むように、大きく深い溜息をついた。
「……医者から、今後の具体的なリハビリ計画を聞いてきた。……結論から言う。小早が、再びあの前線に戻れるようになるまでには――最低でも半年、いや、それ以上の気の遠くなるような月日が必要になる」
「最低でも、半年……っ」
関は、怪我が治れば数ヶ月程度でいつものように戻ってこられると、心のどこかで信じていたのだろう。その青白い顔は歪み、今にも決壊しそうなほど泣き出しそうに引きつっていた。
「肺の機能も、右手の神経の伝達も、今の小早は以前の半分以下だ。……それに、小早自身、自分の思うように動かなくなってしまった肉体に……深く絶望している。これから始まるのは、俺たちが今まで経験してきたどんな過酷な戦闘訓練よりも、地味で、果てしなく、終わりが見えない戦いだ。……これから先、小早が自分自身の変わり果てた姿を嫌いになり、お前を拒絶して遠ざけようとすることもあるだろう。関……それでもお前は、あいつの隣で、あいつのその『今の弱さ』と絶望のすべてを受け入れて、一緒に歩み続ける覚悟はあるか?」
こんな問いかけをぶつけること自体が、関にとってどれほど酷なことか分かっている。『はい』以外の回答など許されないと追い詰めるような、あまりにも残酷な質問だと知っていながら。それでも、ここで中途半端な覚悟のままでは、あいつらを支えきれないと本能が警告していた。
「小早が……小早が、また前を向いて頑張るというのなら、俺は……俺は何年でも一緒にいます。俺にできることなら、何だってします。だから……っ」
言葉を詰まらせた関の瞳から、大粒の涙がボロボロと畳み掛けるように零れ落ちた。震えるその声で、関はすがりつくように顔を上げる。
「……桜木教官も、俺たちと一緒に、歩んでくれますよね……?」
「……何を言ってるんだ。当たり前だろ。今は同じ隊の、大切な部下なんだ。見捨てるわけないだろう」
「っ……!」
関はぐっと両手の拳を強く握りしめ、机に突っ伏すように下を向くと、声を殺して、ただ黙々と涙を流し続けた。
――思い返せば、この数日間、俺は意識のない中山の処理や膨大な軍の書類仕事、そして小早のことで頭がいっぱいで、目の前にいる関のケアにまで全く気が回っていなかった。この若い部下もまた、一人で計り知れない不安と恐怖に駆られながら、必死に任務をこなして耐え抜いてくれていたというのに。
「……俺しか見てない。気が済むまで、ここで泣け」
そう不器用に告げると、俺は自分の椅子から立ち上がり、泣きじゃくる関の隣へとそっと腰掛け直した。




