無事に帰ってきてくれるのなら、そんなの、いくらでも心配させたって構わない
小早が意識を取り戻したという短い報せを受け取り、俺は軍の詰所を飛び出し、無我夢中で病院へと引き返した。
病室のベッドに近づくと、小早の口元には人工呼吸器のチューブが装着されており、肺を深く痛めている彼女がまともに声を出すことなど本来できる状況ではない。それでも、俺の姿に気づいた彼女は必死に息を継ぎ、喉を震わせて、掠れた途切れ途切れの声を絞り出した。
「しん……ぱい、かけて……ごめん……な……さい……」
――馬鹿野郎。謝るなよ。
無事に帰ってきてくれるのなら、そんなの、いくらでも心配させたって構わない。何度だって心臓をすり減らしてやる。心の底からそう叫びたかったのに、喉のつかえが邪魔をして、実際に口から零れ落ちたのは「良かったな」という、あまりにもそっけない、たった一言だけだった。不器用で、どうしようもない自分が嫌になる。
関内の妹の身柄もすでに確保され、これ以上直接的な脅威に晒されることはない。中山も小早も、二人生きて目を覚ました。
これからしばらくは、二人の体調が万全に回復するまでの間、警備や周辺のパトロール任務がこれまで以上に増えるだろう。傷ついた仲間を抱えながらの日常は決して平坦ではない。
それでも――。
早くこの重苦しい痛みを乗り越えて、またあの青空のなかへ、あの4人で一緒に飛び立ちたい。そう願わずにはいられなかった。




