いつだって大切な時にミスをする
俺は、いつだってそうだ。
中山のように先を見据える深い思考なんて持ち合わせていない。だから、こうして致命的な油断をする。
関内の妹がまだ警察に捕まっていないのなら、標的である俺たちや、周囲にいる者たちを狙ってこの病院に現れる可能性だって十分にあり得ただろ。どうして、その最悪の想定が頭に浮かばなかったんだ。
少し離れた場所で、小早が全身を刺され、鮮血を吐き出しているのが目に入った。
走った。無我夢中で、足が千切れるかと思うほどに全速力で走った。だが、間に合わない。小早は痛みに耐えながら、何かを必死に呟いていた。
崩れ落ちる小早の体を呆然と見つめていた人影を荒々しく押しのけ、俺は血まみれの小早をその腕の中に強く抱き寄せる。
すぐさま体勢を立て直して間合いを取り、目の前の人物へと視線を向けた。
腕に広がる生ぬるい感覚。それが小早の体から流れ出た血なのだということは、見下ろさなくても嫌というほど分かった。
このままでは、小早が死んでしまう。
だが、目の前の人間を力づくで止めなければ、小早を救うための処置すらままならない。
腕の中で、小早がゴホッと激しく血を咳き込んだ。
――あぁ、この音には、身を切るような覚えがある。
肺に血が流れ込み、それを押し出す時に響く、あの絶望的な気管の音だ。
目の前に立つ少女は、涙をポロポロとこぼしながら、歪んだ表情のままこちらを睨みつけていた。
「何がごめんなさいよっ……! 助けられなかったって言われたって、兄さんたちはもう二度と帰ってこないじゃない!」
「関内……っ」
怒号と泣き声が入り混じる中、腕の中の小早が再び、命を削るような苦しげな息を漏らした。




