回顧:改革を示す
「今回の件、ご苦労だった」
数日後、俺と中山は冷え切った空気の漂う人事部に呼び出されていた。
「本題なんだが……2人には来年度、戦闘補佐隊の仕事を中心にしてもらいたい。そのため、集団戦闘の基礎と応用以外の授業は一切持たせないことにする」
「……つまり、俺たちが班を持つことすら認めないということですか」
「これは保護者たちの感情を考慮しての判断だ。生徒を死なせた教官が、そのまま何食わぬ顔で教壇に立ち続けるのは心理的な反発が大きい。まあ、お前たちの責任ばかりではないがな」
ふざけた論理だ。では、他の授業や抜けた穴はどうするつもりなのか。
「では、他の授業はどうするんです。生徒数が減ったとはいえ教官の数だって減っている。今の現場がどれだけ人手不足か分かっているのか」
「八王子本部や立川基地から臨時に人を送り込む。これからは前以上に立川基地と士官学校の境界をなくしていく方針だ。君たちが使える個室や拠点は今年度と変えないが、今後はそこで戦闘補佐隊としての実務をこなしてもらう」
「……分かりました」
それ以上言い返す気力もなく、俺たちは部屋を後にした。
静まり返った廊下を歩く。足音しか響かない無機質な空間で、俺の口から思わず漏れたため息がやけに大きく木霊した。隣を歩く中山が、痛ましげな視線を向けてくる。
「……俺たちの実力が足りないってことか?」
「違うだろ。上に立つ人間が、世間に対して『組織の改革』ってやつを見せなきゃいけないだけだ」
それ以上言葉を交わす気にもならず、ただ乾いた足音だけを響かせながら、俺たちは先の見えない道を歩き続けた。




