回顧:何も出来ない
限界を超えて無理をした代償は大きく、ベッドに寝かされると同時に、激しく痛む腹部の傷口が悪化していたらしく再び手当てを受けることになった。消毒と縫合し直しの激痛に脂汗を滲ませている俺の脇で、中山が低く、呆れたような、しかしどうしようもなく憔悴した声を落とす。
「熱あるだろ。寝ていないと」
「……中山、関を見たか?」
「さっき、小早といるのを見かけたよ」
「どうだった……?」
「ほぼ放心状態だった。小早が放心状態で、飯もあまり食えてなかったが……関も、大して変わらない」
「そうか……。俺は、今あいつの元にも行けねえんだな……」
動けない自分の不甲巧な肉体が、どうしようもなく憎たらしかった。葬儀を終え、生き残った数少ない生徒たちがどれほど深い傷を負っているかを知りながら、その側に寄り添うことすらできない。ただベッドの上に縛り付けられているこの無力さが、刺し傷の痛みよりも何倍も深く胸を抉った。
「自分を治すことを考えてくれ。お前だって、一歩間違えれば死にかけてたんだぞ」
「……中山も、無理するなよ」
「分かってる」
――そんな、見ていて痛々しくなるほど困った顔をするなよ。
これ以上あいつに心配をかけるなと自分を叱咤しようとするが、身体を巡る高熱と薬の倦怠感が容赦なく意識を奪っていく。視界が急速に濁り、重く閉ざされていく中で、俺はただ途切れる思考のまま暗い眠りへと落ちていった。




