↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
182/269

回顧:違いは何だったんだ

中山が何とか俺のわがままを聞き入れてくれ、あいつがどこかに連絡をつけたことで、どうにか車椅子での式典参加が許された。激しく痛む身体を引きずるようにしてその場に身を置いたが、目の前で執り行われる現実が、どうしても脳内で処理しきれなかった。

式典のあと、俺は亡くなった生徒たちの眠る場所へと連れて行ってもらった。

冷え切った霊安室に並ぶ小さな棺の群れ。その一つ一つの前で車椅子を止めてもらい、生徒たちの顔に自分の手でそっと触れていく。熱を持った俺の手のひらが、あまりにも冷え切った彼らの肌の温度を伝えてくる。その残酷な冷たさが、彼らが二度と戻らないという現実を嫌というほど突きつけてきた。

――生き残った生徒とお前たちの差は、一体何だったんだ……?

未だにその問いが頭から離れない。俺は、お前たちが過酷な戦場や脅威から生き残れるようにと、持てる知識のすべてを教え込み、鍛え上げたつもりだった。それなのに、なぜ。なぜお前たちは助からず、俺だけがこうして息をして、ここに座っているのか。教えるべきことを間違えたのか。あの夜、俺がもっと早く目を覚ましていれば。判断の遅れが、防げたはずの死を招いたのではないかという悍ましい後悔が、心の奥底から這い上がって胸を引き裂く。

その後、担当していた生徒たちの保護者の方々と顔を合わせた。

遺族の前に立った俺の姿は、包帯だらけで血の滲んだ軍衣を纏い、人間とは思えないほどボロボロだったのだろう。言葉を絞り出すこともできない俺を見て、逆に保護者の方々から気を遣われ、痛々しい労わりの言葉をかけられてしまった。

――違う。違うんだ。

俺なんて、そんな風に気遣ってもらえる人間じゃない。我が子を奪われた遺族から罵られ、糾弾され、路頭で唾を吐きかけられて当然の、最低の指導者のはずだ。それなのに、優しくなどされてしまうと、罪悪感でいよいよ息ができなくなる。守れなかった者たちの温もりと、遺族の痛みを一身に背負いながら、俺はただ地獄のような後悔のなかに沈み込んでいくしかなかった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。