回顧:何人生き残った?
夜が明け、高熱にただ魘され、朦朧としている意識の底で、中山が帰ってきた気配がした。酷くすり減った、見る影もない顔だった。その場から一歩も動けない自分の無力さを、心底呪った。
やがて再び目を覚ました時、そこに中山の姿はなく、代わりに部屋に入ってきた看護師が手慣れた手つきで体温を測り、点滴の管を交換していく。
「あの……」
「はい」
「生徒達の状況は……どうなっていますか」
問いかけた瞬間、看護師の顔が強張るように曇り、スッと目を背けられた。ああ、そういうことか。言葉にしなくとも、その沈黙がすべてを物語っていた。どうか1人でも多くの班員が無事でいてくれと、縋るような思いで祈ることしかできない。
しばらくして、戻ってきた中山に、恐怖と絶望を押し殺しながら恐る恐る声を絞り出す。
「中山、生徒達は……?」
中山はひどく苦しげに顔を歪めた。その表情を見ただけで、胸の奥が凍りつく。
「桜木……その……だな」
「何人だ」
「ん……?」
「何人生き残った? 誰が生きている……っ」
「……桜木の班は、関だけだ」
その言葉を聞いた瞬間、思わず力なく目を閉じた。
関……だけか。あいつだけが生き残って、他の奴らは――。
脳裏に、いまだに鮮明な生徒たちの顔が浮かび、楽しげな声が耳の奥で響く。嘘だろ。お前たちはもう、どこにもいないのか。俺が、俺たちの判断の遅れが、お前たちを死なせてしまったのか。こんなの、信じられるわけがない。今すぐにでも、あの廊下の向こうから「教官!」と笑って駆けてきそうなのに。
「……中山の所は?」
「……小早だけだ」
安宅も……ダメだったのか。あんなに必死に前を向こうとしていたあいつも、残せなかったのか。
「安宅と、弟の方の関内の最後は……俺が看取った」
「そうか……」
「この後、合同葬儀がある。……行ってくるよ」
「俺も行く……」
「お前はまだ寝ていないと……!」
「ふざけるな……ちゃんと言葉を交わして別れないと、生徒たちが死んだなんて、一生信じられないままになる。……行かせてくれ……っ」
腹部を縫い合わされた傷口が引き裂かれるように痛み、頭の奥が割れるように割れる。呼吸をするのすら焼けるように苦しい。それでも、ここで布団にくるまってなどいられたら、それこそ一生自分を許せなくなる。自分の手で守ると誓った生徒たちの最後の場所にすら行けないのは、生き延びることよりも何倍も残酷だった。




