2年半
「小早ー。」
「関、何ー?」
後ろからふわりと温かい体温に包み込まれ、そのまま引き寄せられるように関の膝の上へと乗せられる。誰に見られているわけでもない、私の部屋の中だからこそ、関はこうして隠さずに甘えてくる。外ではクールで落ち着いた前衛として頼られている彼が、二人きりの時だけに見せるこの独占欲と優しさが、心地よくて少しだけくすぐったい。
「はい、プレゼント」
不意に頭の上へ、ぽんと小さな小箱を乗せられる。
「プレゼント? ありがとう! 開けていい?」
関が愛しそうに微笑んで頷くのを確認し、私は丁寧にリボンを解いて小箱の蓋を開けた。中から現れたのは、磨き上げられた美しい金属の鎖だ。
「これは、チェーン?」
「小早、安宅と3人で買ったリングを貸して」
言われるがままポケットから取り出したその指輪を、関は手際よくチェーンに通していく。
「これで、安宅と一緒に中山班に入れるだろ?」
「……聞いたの?」
「まあな」
関は優しく微笑みながら、チェーンを通したネックレスをそっと私の首にかけてくれた。胸元で、あの日の思い出が詰まったリングが静かな重みをもって落ち着く。
「ごめんね、まだやっぱり安宅君のことが忘れられないし、安宅がもし生きていたらって想像してしまうの。だから、心の中の安宅君と一緒に班に入るなんて、関の前で変なこと言っちゃって……」
「いいよ。そのうち整理したくなればすればいいし、したくなければしなくていい。俺も最初は理解できなかったけど、今なら分かるよ。安宅を裏切るような気がして、怖かったんだよな」
関の大きな手が、私の髪を優しく、愛おしそうに撫でてくれる。その温もりに触れていると、張り詰めていた胸の奥がじんわりと解けていくようだった。
「安宅君のこと、引きずりすぎだって自分でも分かってるよ。ごめんね……」
「いいよ。俺もたまに、ふとしたであいつの影を探してしまう。……もう、2年半も経ったのにな」
「もう、2年半か……」
時間の経過の早さに小さく息を呑む私を、関はさらに強く、壊れ物を扱うように大切に抱きしめ直す。
「だけど、俺達も次のステップに進む時なんだと思う。……一緒に行こう、小早」
その真っ直ぐで力強い響きに、私の心は完全に満たされていく。
「うん……!」
私は振り返り、関の胸に顔をうずめながら大きく頷いた。過去の傷も、消えない思い出もすべて抱きしめたまま、私たちは新しい未来へと歩き出す。




