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さようなら、明光隊

出発の朝、荷物を抱えて寮の玄関へと向かうと、まばらな人影が見送りのために集まっていた。骨折を完全に治した菊名先輩と片倉先輩、そして南野と夏純がそこに立っている。

「……小早、本当に立川に戻っちまうんだね」

菊名先輩が少し気まずそうに声をかけてきた。隣では片倉先輩が無言で小さく頷き、私の左腕をそっと気遣うように視線を落とす。

「はい……。長い間、本当にお世話になりました」

私が頭を下げると、南野が寂しそうな顔で駆け寄ってきた。

「小早……またいつか、一緒に戦おう」

「うん……またいつか、一緒に戦えたら、ね」

その言葉に、胸の奥がキュッと締め付けられる。けれど、誰もが知っているのだ。一度でもこの場所やチームから引き剥がされた人間は、二度と元の場所には戻れないという冷徹な現実を。中学生の時に一度離れた私は、もう二度とここへは戻れないはずだった。なのになんの運命か、再び巡り合って仲間として過ごす機会を得てしまった。それは、あの時部活を離れなければ訪れたかもしれない、もう一つのIFストーリーを体験しているかのようだった。

だが、その幻のような時間は終わりを迎える。相原先輩は今も彼氏の家で療養を続け、鴨居先輩は病院から動けない。そして私も、中山隊の一員として立川へ帰る。欠けたピースが元通りに埋まることなどなく、一度散り散りになった絆は、どれだけ願っても二度と元の形には戻らない。

そんな中、並びの端にいた夏純は、私と視線が合うとわずかに目を細め、露骨に視線をそらした。彼女が心のどこかで私のことを薄らと嫌っているのは分かっていた。言葉には出さないものの、その冷めた横顔には確かな拒絶の色が滲んでいて、私たちの間にある埋まらない溝を現実として突きつけてくる。

「……また、いつか」なんて言葉を誰もが口にするけれど、それが二度と訪れないかもしれない社交辞令であることは、互いの痛む心がいちばんよく理解していた。

「……行こう、小早」

関が静かに私の背中に手を添え、移動車両への道を促す。振り返った視線の先で、菊名先輩たちが小さく手を挙げて見送ってくれており、夏純はもうこちらを見ていなかった。私たちはもう二度と、あの日の明光隊のメンバーとして同じ目線で並んで立つことはない。

失われたものは二度と戻らない。静まり返った車両の中で、私は冷めない寂しさを抱えたまま、ただ過ぎ去っていく景色を見つめ続けていた。


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